【遠野なぎこ、凄絶な虐待経験を明かす…急がれる児童相談所・親の支援の充実】(AbemaTIMES 2/19)

遠野なぎこ、凄絶な虐待経験を明かす…急がれる児童相談所・親の支援の充実

父親のいる自宅に帰し、家庭訪問もしないなど、不手際の連続で栗原心愛さんの命を守れなかった千葉県の柏児童相談所。当時の奥野所長は「危険性について私が気づいていなかった。栗原心愛さんという名前を挙げて引き継ぎはしていない」と明かした。これに対し、馳浩元文部科学大臣は「事実関係を確認すればするほど、なんでやるべきことをこのタイミングでできなかったのかという反省がたくさんある」と指摘している。

児童福祉法に基づき全国200か所以上に設置されている児童相談所。しかし、ここに寄せられる児童虐待の相談は年間で13万件以上に上っているのに対し、対応に当たる児童福祉司の数はわずかに3500人だ。1人あたり40件を抱えることになる。

安倍総理は8日、「やれることは全てやるという強い決意で児童虐待の根絶に向けて総力を挙げて取り組んでください」と述べ、自治体や教育委員会に対し、学校が認識している虐待疑惑を1か月以内に緊急確認させることを決定。さらに今後3年間で児童福祉司を2000人以上増やす方針だ。

ところが、児童虐待防止協会の津崎哲郎理事長は「2000人が増えたからといって、すぐに体制が充実するということはない。最低でも5年、10年と知識・経験を積み上げて初めて色んなケースに対応できるようになる」と話す。

16日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した元児童相談所の児童福祉司・川松亮氏は「圧倒的に人手が足りないことだけは確かだ。全国の児童相談所は児童虐待も含めて46万件以上の相談を受けているので、児童福祉司一人あたり100ケースを超える計算になる。

欧米ではソーシャルワーカー一人あたり20ケースくらいが普通。そのくらい少ない人数で頑張ってきたと言える。虐待による死亡は年間で70〜80件くらい起きているが、その中で児童相談所が関わっていたケースは3割くらい。一方、裁判所に申立てをし、親子を分離して守っているケースも全国で300件くらいはあるので、きちんと対応できているケースもたくさんあると考えている。

ただ、柏児童相談所のような不手際は考えにくい。担当者として記憶にないということもおそらくないと思う。忙しさの中でかき消されてしまったということがあるならば、それは問題だと思う」と話す。

「さらに日本で欠けているのは、子どもの声を代弁する、海外における”アドボケーター”の存在だ。お子さんがどう感じているかきちんと聞き取って、支援の方針に反映させないといけないが、十分ではない。あるいは心理的な診断をし、その所見に基づいて進め方を検討するという部分も弱い。また、海外では裁判所が大きく関与するのに加え、日本は児童相談所の行政判断で進めなければならず、裁判所の関与は一部だけだ」(川松氏)。

自民党の「虐待等に関する特命委員会」でも、児童相談所の強化を求める声が相次いでいる。小泉進次郎厚生労働部会長は「いかに中核市に児相を広げることができるのかと。またそれが可能となるための支援、それは何なのかということも1つの論点だと思う」と述べた。また、文科省と厚労省は再発防止に向けて連携を強化する方針で、15日に開かれた合同会議の初会合では、両省の情報共有の徹底等が確認され、中間報告を5月末までにまとめる方針だ。

自民党の木村弥生衆議院議員は「今国会では児童福祉法を改正することになっているが、さらに強化していくということで、超党派議連が決議文を出した。8つほどの項目からなり、例えば現状では児童福祉司は国家資格ではないので、新たに”子ども家庭福祉司”(仮称)を設け、量だけではなく、質を向上させていくこと。あるいは弁護士・医師を配置すること。

常勤の弁護士は7か所くらいにしかいない。今度の法改正でも”置く”とは書いてあるが、常勤とは書いていない。これを常勤となるよう進めていきたい。そして、柏児童相談所の場合、130万人の自治体を受け持っていた。もう少し網の目を細かくして、手厚く見ることができるよう、今こそ抜本的にやっていきたい」と話す。

「国家予算を1000円とすると、アメリカやカナダは社会的養護に260円分くらいを使う。ドイツは23円くらいで、日本は2円。これくらいの差がある。また、児童虐待にはDVが関わっていると思うが、それは内閣府の所管。ここも合同チームにぜひ加えてもらって、一丸となってやるべきことは全部やるということでやっていきたい。さらに親子分離、里親、特別養子縁組が日本ではなかなか進んでいない」(木村氏)。

■遠野なぎこ、凄絶な虐待の経験を明かす

幼少期に母親からの虐待を経験、それらを告白した自著もある女優の遠野なぎこ氏は「母自身が女優になりたかったというのがあって、その嫉妬からか、私は小学生の頃から”女性”として見られ、外を歩く時は着飾らせ、家に帰った途端に鼻血が出るまで殴られたり、蹴られたりしてきた。

交際相手の男性をどんどん替えて、1週間くらい外出してしまうこともあった。頭がボサボサの状態で炊飯器のカリカリのご飯を食べて生き延びていた姿を同級生のお母さんに見られたこともあったが、通報してくれなかった。

中学生ぐらいになると体力がついてくるので心理的虐待に切り替えてきて、彼氏の下半身の写真を見せ”すごいでしょ”と言われた。多感な時だったし、吐き気がするくらい嫌だったが、”ママ、ホントだね。すごいね”と言わないと捨てられるような気持ちになっていた。あるいは”あなたが外で恥をかかないためよ”と、私の容姿について”ここが醜い、ここも醜い”と悪口を言っていく。だから今も自分の顔を大きな鏡で見られず、小さな鏡で化粧をするしかない」と明かす。

その上で「私は今も心の病をいくつも抱えたまま戦っている。それぐらい根深い。いくら殴られても蹴られても、子どもは”いつか親は自分を愛してくれるんじゃないか”、”自分が悪いからやられるんじゃないか”と思ってしまって耐え続けてしまう。私のように隠されている子どもたちが世の中にたくさんいると思う。むしろ今回、心愛さんが学校に言えたのはすごいことだ」と続けた。

全国の児童相談所の調査をしたことがあるという弁護士の猿田佐世氏は「親が虐待を受けて育ったケースもあるので、同時に親のことも見ていかないといけないが、それも児相が考えないといけない状態になっている。加えて、子どもを返せていうクレームが来た時に”文句は家庭裁判所に言って下さい”と堂々と言えるようなシステムを変えないと、いつまでも児童相談所任せのままだ」と指摘する。

川松氏は「連鎖も一つの背景ではあるが、経済的な困難や精神的な不安定さを抱えている人も多い。DVが背景にあるケースもある。それらが重なり合っている。そういう方たちに寄り添う人がいないため、一人で抱え込み、行き詰まっていることも多い。

周囲が監視をするということではなくて、支援が必要だ。心愛さんのお父さんにも、色々な背景があったと思う」とし、「やっぱり虐待に至るまでに芽を摘むという予防が大事だと思う。早く気がつけるような体制になっているとか、子育ての行き詰まりに気づいて支援ができるようにするといった、地域の支援サービスやつながりを充実させるような施策を拡充すべきだと思う」と訴えた。

児童虐待の通告は児童福祉法によって全ての国民に課せられた義務だ。児童虐待の通告や子育ての悩み相談ができる児童相談所全国共通ダイヤル189(いちはやく)は24時間受け付けている。川松氏は「児童虐待防止法では、”疑い”でもいいとなっている。本当に虐待か分からないのでと皆さんは躊躇されるが、心配だったら連絡していい。子どもたちは我慢して自分では言えない状態になっているので、周りの人が気づいて支援につながればいいと思う」と呼びかけた。

(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)