日米プログレッシブ議員、バイデン米大統領に核戦争のリスク軽減を要請-70名以上の日米進歩派議員が共同書簡で「核の先制不使用宣言」を要求-

Kyle Ann Sebastian
(UCS: Union of Concerned Scientist 2022年4月1日掲載)

 35名の米議会議員と、39名の日本の国会議員によって署名された書簡が、ジョセフ・バイデン大統領と岸田文雄首相に送られ、米国は有事の際に先制して核を使用しないという趣旨の宣言を支持するよう、両首脳に要請された。

 同書簡は、米プログレッシブ議員連盟(CPC)と日本プログレッシブ議員連盟(PCJ)が共同で主導したもので、日米両政府に対し、いかなる時、いかなる状況下においても核兵器の先制使用を支持しない立場を明確に示すよう求めている。同書簡の署名者として、CPC議長のプラミラ・ジャヤパル下院議員(ワシントン州)、バーニー・サンダース上院議員(バージニア州)、エリザベス・ウォレン上院議員(マサチューセッツ州)、オカシオ・コルテス下院議員(ニューヨーク州)、中川正春参議院議員(PCJ議長)らが名を連ねている。

 核保有国間の緊張関係が冷戦終結以降かつてないほど高まる中、米国による核の先制不使用宣言は、同国の核の先制使用を防ごうとする敵国が先に核を用いて攻撃する可能性を減らし、核戦争に発展するリスクを低減する。そして、危機的な状況下における時間稼ぎとなり、それによって各国の意思決定にかかわるリーダーたちに他の解決策を検討する余地を与えうる。また核の先制不使用宣言は、例えば敵国が米国の行動を核攻撃と誤解するといった、誤認や齟齬によって生じる偶発的な核発射のリスクを減らすこともできる。

 同書簡の署名者らは、日本の支持の下、米国が核の先制不使用宣言することは、軍縮のための国際的な努力に新風を吹き込むことになるだろう、と述べる。

 日米両政府高官はいずれも、米国の核の先制使用が必要もしくは望ましいとされるシナリオを明確にしていない。米国による核の先制不使用宣言は、既に日米同盟の事実上の方針となっている。憂慮する科学者同盟の分析によると、米国が核の先制不使用宣言をした場合、日本政府はそれを受け入れ、また宣言に応じて独自に核兵器を開発する可能性は低いという。日本は、米国の「核の傘」の下にある非核保有国のうちの1つである。仮にいずれかの国が核兵器で攻撃された場合、米国は報復を約束しており、その保証は核の先制不使用が宣言されている場合であっても変わらない。

 バイデン大統領は以前、核の先制不使用宣言への支持を表明している。バイデン政権は機密版の「核態勢の見直し(NPR)」を終えたとされるが、その内容はまだ公に明らかにされていない。いずれにせよ、バイデン大統領はいつでも同宣言を行うことが可能な状況だ。

 米プログレッシブ議員連盟(CPC)と、2020年に日本の国会内で結成された超党派の連盟である日本プログレッシブ議員連盟(PCJ)は、双方の関係を深めることで、在日米軍の在り方や核兵器に関する政策決定のために必要な法的議論を促進することを目指す。

Progressive Lawmakers in US, Japan Call on Biden to Reduce Risk of Nuclear War