番組の概要
新外交イニシアティブ(ND)の猿田佐世代表が14日朝、テレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」にコメンテーターとして出演しました。番組では、台風5号の関東接近で各地の様子を生中継したほか、米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手と山本由伸投手がオールスターゲーム前の最終戦での活躍を紹介しました。また、パネルを使って、注目の話題を議論するメインのコーナーでは、参院選での争点に急浮上した「外国人」をめぐる問題について話し合いました。
各テーマの猿田代表の発言
大リーグの話題では、投手としてマウンドに立ち始めた大谷選手が取り上げられ、猿田代表は「ドジャースの投手陣は故障があって、早く大谷選手を起用しないとという事情があったのでしょうけど、無理しないで、けがしないでやっていただけるといいなあと思う」と気遣うコメント。また、大谷選手と山本投手がオールスターゲームに出場することについては「うちは家族が広島ファンなので、鈴木誠也選手がめちゃめちゃ活躍してるんですけど、大谷選手の影に隠れてしまっているし、オールスターも出られなかった。大谷選手と山本投手は頑張っていただきたい」とコメントしました。
このほか、復興を目指す能登の被災者が今回の参院選をどう見ているかを、現地からリポート。スタジオで石川選挙区の立候補者の政策が紹介されました。その後、パネルを使ったメインのコーナーに移り、参院選の争点に急浮上した外国人政策とネットで広がる「外国人優遇」の真偽についてコメンテーターが議論しました。
ネット上で拡散する「生活保護受給者の33%が外国人」「日本の治安が急激に悪化しているのに日本人を守らず、外国人を優遇している」といった情報について、パネルを使いながら検証。早稲田大学大学院の田辺俊介教授の解説と、日本在住が長く日本社会に詳しいデービッド・アトキンソン氏のコメントを挟みながら、外国人政策についての各党の対応などが取り上げられました。
まず、ネット上で拡散されている生活保護と外国人の犯罪についての情報がパネルで紹介されました。生活保護に関しては「生活保護受給世帯の33%が外国人」「生活保護受給者の3分の1が外国人らしい」というネットでの情報について、生活保護受給世帯は全国約165万世帯で、そのうち、世帯主が外国籍の世帯は約4万7000世帯で、全体の約2.9%であることが紹介されネット上の「33%外国人に支給」はデマであると断定されました。
また、「外国人が減れば犯罪検挙数は減るのだから外国人は出ていけ」「日本の治安が悪化 立法・司法・行政が日本人を守らず外国人を優遇」というネット情報についても取り上げられました。
田辺教授は「この20年ぐらい、日本の治安状況は良くなっている。しかし、それを多くの方はご存じない。昨年10月の警察庁の調査では、この10年で日本の治安は悪くなったと思う人は76・6%で、実際には治安は良くなっているのに、治安が悪化したと考える人がなぜか増え続けている。治安が悪いと人々に思わせている原因が何かあるのでは、と考えた時に、2000年ぐらいから外国人によって犯罪が増えるという言説が多く広まってしまっている。もっとも、現実には、長期に滞在する外国人は犯罪をすると(国から)追い出されるので、(その国の)ネイティブの人より犯罪率が低いというのが世界的に言われている。イメージと実態のギャップ、これは知っておいていただきたい」とネット上の情報が現実とは違っていることを強調しました。
コメントを求められた猿田代表は「一番言いたいのは、いろんな問題が日本にあるが、外国人を排斥しても何一つ良くならない、ということ。世界の中での日本の地位が低下しているということがあるが、外国人を排斥することで、その地位が上がるかと言えば、上がらない。外国人を排斥すれば賃金が上がるのかと言えば、上がらない。外国人を排斥すれば物価高が収まるのかといえば、収まらないんですよ。むしろ、どちらかと言うと、排斥したら経済はどんどん停滞するし、賃金も下がるし、物価高も全然解決しない。解決しなければならないメインの争点から目をそらし、本当の問題の解決が遠のくだけ。ただ、外国人を排斥すれば、何かできるんじゃないかと言っているだけの、非常に危うい状況になっていると思う」と、外国人に対する根拠のない虚偽情報に危機感を見せました。
このほか、番組では、外国人留学生に対するネガティブなネット上の情報についても詳細な事実を基に否定したほか、外国人が住宅の入居を断られたり、社会保険などで差別されたりするなど不利益を被る例も紹介されました。
参院選で急に外国人政策が取りざたされることに、アトキンソンさんは「なぜ、この問題がこんなに浮上しているのか分からない」と首をかしげました。また、レギュラーコメンテーターの玉川さんは「区別は差別と容易に結び付く。ある属性の人たちを区別して差別することになれば、私たち日本人だって同じような目に遭う人が出てきてもおかしくないと思う。同じ延長上の話。今、こういうふうなことが急浮上しているのは非常に危険だと思う」と、弱者差別を許すことで日本人差別にも拡大しうる、自分も差別される側になりうることを考えるべきと指摘しました。
猿田代表はまた「私は弁護士なので、外国の方の法律相談を受けたりだとか、外国の方が生活で苦労されたりして、お手伝いすることがあるが、日本人の相談よりはるかに難しい。なぜかというと、外国人は日本で優遇ではなく、確実に冷遇されているから。」と実体験から在日外国人の状況を語りました。
また、トランプ米大統領が南アフリカのラマポーザ大統領に対してまったく別の国の写真を示しながら、南アにおける白人に対する迫害を非難したことを引き合いに出し「すごく恐ろしいのは、真実ではない情報で世の中が回っていってしまわないかなということ。世界の中で一番権力がある、あのホワイトハウスの中で、デマが当たり前に通ってしまう。真実とウソはきっちり切り分けていかなければならない。デマの上に成り立った民主主義なんて民主主義ではないですから。そこをしっかり見極める選挙にしていかなきゃいけないだろうと強く思う」と、参院選へ臨む心構えを語りました。田辺教授も「正しい現状認識とそれに基づいた政策をお願いしたい」と述べて、メインのコーナーは終了しました。
※番組は放送から数日後に無料動画配信サービス「TVer(ティーバー)
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