公明離脱による連立政権の行方および万博の功罪|「羽鳥慎一モーニングショー」発言レポート(25/10/13)

番組の概要

新外交イニシアティブ(ND)の猿田佐世代表が13日朝、レギュラー・コメンテーターを務めるテレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」に出演しました。メインのパネルコーナーでは、26年間自民党と連立を組んできた公明党が連立を離脱した問題が取り上げられました。

公明党の西田実仁幹事長と政治ジャーナリストの田崎史郎氏、テレビ朝日政治部官邸キャップの千々岩森生氏を交え、レギュラー・コメンテーターの石原良純氏とともに、公明党が離脱するに至った背景と影響、首相指名などについて、突っ込んだ議論を展開しました。この中で、猿田代表の質問を受け、西田幹事長は、首相指名選挙で野党一本化が実現した場合に「すべての可能性を排除しない」と述べて、上位2人の決選投票になった場合の対応についても「まだ、決めておらず、その意味ではあらゆる可能性がある」と他の野党候補への投票に含みを持たせました。

各テーマの猿田代表の発言

コーナーではまず、公明党の斉藤鉄夫代表が自民党の高市早苗総裁との党首会談(10日)で、連立離脱を通達した理由が話題になり、西田幹事長は、公明党が離脱の理由となった政治とカネの問題に対する基本姿勢について自民党と協議を重ねてきたことを強調し「高市さんだからということではなく、私はずっとこの政治改革本部長として、自民党ともずっと協議してきました。そういう経緯の中で、突然、唐突に急に言ったわけじゃなく、もうずっと連絡したんですよ。選挙が終わった後で、目を覚まさなきゃいけないっていう国民の声に対して、どう答えるかという基本姿勢を問うたんです。ところがそういう姿勢は見られなかった」と説明しました。

西田幹事長によると、水面下の接触でも自民党は消極的で、公明党から接触しても反応は芳しくなかったということです。田崎氏は自民党の対応について「たかをくくってたと思います。26年間の歴史を見ても、公明党がついてくるという形だったので、これからもついてくるだろうという慢心があったと思います。今の執行部には、公明党と創価学会の大事さを感じていない人が多いということです」と述べ、自民党執行部の慢心と公明党の軽視が背景にあるとしました。

猿田代表は「企業団体献金の規制強化が政治とカネの問題の象徴として、すごく大事な問題で、それを今回、自民党が飲んでくれなかったので離脱をするというのは、構造としては非常にクリアです。でも、国民みんな思っているのは、いきなりそれで離脱するかな、ということです。自民党が飲まないのは、分かっている。それを飲んでしまったら、自民党は収入がかなり減るわけですし、さらに弱体化するので、なかなか飲まないと分かっている。そうなると、それ以外の点でも、自民党に対していろいろご不満があったんじゃないかなと。安倍政権以降ですけれど、自民党の中でタガが外れたようなところがあるのかな、と思っていて、統一教会の問題ですとか、公文書の改ざんの問題ですとか、他にもいろいろ不満がお有りだったのではないか、その辺りを西田さんに伺いたい」「なぜ今、それを聞く意味があるかと言うと、自民党がこれからまたどこかと連立を組もうと働きかけをしているから。公明党は、何が良くないから、自民党と離れ、どう問題だと思っていたのか、そこをお聞かせいただきたい」と西田幹事長に問い掛けました。

これに対し、西田氏は「政治と金の問題が一番ぶつかった」と認めた上で、政治とカネ以外にも「歴史認識の問題、過度な外国人排斥の問題も今回の懸念として申し上げました。世界全体を見ても、政治が右傾化していくという流れの中で、右傾化をもっと助長するようなことになっちゃいけないんじゃないかということから、2つの問題も挙げたわけですが、それについては一定の共有ができて、一応、懸案はある程度解消しました」と答えました。

この後、総理大臣を選ぶ首班指名選挙に話題が移り、自民党、立憲、国民民主、維新などの各政党の組み合わせや動きについて、田崎氏が解説しました。猿田代表はまた、西田幹事長に「離脱というものすごく大きな決断をされて、政府の外にいることになるが、『今まで自民党から嫌な目に合ってきたから離脱をしてせいせいした。』じゃだめなんです。」「離脱までして公明党が実現したい政策は何なのか」と問いかけると、西田氏は「中道改革を進めていくのですが、野党の1つとして、政策協議に臨んでいく。与党では言いにくかったことを言えるので、自民党にも理解してもらい、他の野党にも理解してもらう。公明党らしさということで、福祉にしても、5つぐらいの柱を立てて、こういう社会をつくりたい、こういう日本にしたいということを、正々堂々と言えるようになったので、賛同していただくところをつないでいくということになります」と、連立から離脱して野党として動くことのメリットを述べました。

猿田代表の質問に重ね、司会の羽鳥氏が「それを実現するために、野党一本化の中に入る可能性はありますか」と畳みかけると、西田幹事長は「すべての可能性はあり得る」と発言。さらに猿田代表が立憲との政策の近さを尋ねると、西田幹事長は「政策合意は、簡単にできるものではありません。単なる数合わせでやると、後で国民の皆さんに迷惑を掛けてしまいます」と述べました。さらに、テレビ朝日の千々岩氏が野党一本化への協力について確認すると「いろんな事情を、環境を見てですね、最終的に2回目どうするかは、まだ決めてないということです。そういう意味では、あらゆる可能性があるということを申し上げます」と明言しました。

なお、この猿田代表の質問を端緒とした、「公明党の野党一本化の協力の可能性」についての西田幹事長の発言は、共同通信、時事通信などに配信され、多くのメディアに発言後数時間内に掲載されています。

パネルコーナーに先立ち、この日閉幕を迎えた大阪・関西万博の様子も取り上げられ、会場からの生中継で詰めかけた観客の様子などが映し出されました。来場者が2500万人を超え、運営費は黒字になりそうだとの見通しを羽鳥氏が紹介した後、猿田代表はコメントを求められ、「成功して盛り上がったのは良かった。ただ、黒字といわれるが、運営費が入場料でカバーできたということだけであって、建設費など諸々を考えると、3000億円の赤字。3000億円の内、税金で賄っている部分も3分の2ある。黒字だ黒字だとアピールするのではなくて、実際、建設費が別にかかってますよと明らかにして、しかし、それでやりたかったことは実現できたのか、今後の大阪経済の起爆剤になったのか、等検証する必要がある。未払いの問題もある。準備の期間がすごく短かったために大手の建設会社が引き受けず、頼み込んで、中小の会社に引き受けてもらったが、現在、そういう中小企業への未払いが何社もあって、裁判にもなっている。そういう問題はちゃんと解決していかないと、同じようなことが繰り返され、引き受け手がいなくなってしまう。反省点は生かしていかないといけない」と、今回の開催の課題を指摘しました。

※番組は放送から数日後に無料動画配信サービス「TVer(ティーバー)」で配信され、一定期間ご視聴いただけます。
https://tver.jp/series/sr83kmd6bw