新外交イニシアティブ(ND)の猿田佐世代表が10月29日、ネット番組「たかまつななのSocial Action!」に出演しました。就任早々にトランプ米大統領を迎えるなど、高市早苗総理大臣の外交デビューなどについて、番組のMCを務める社会起業家のたかまつななさんの質問に答えました。この番組は、たかまつさんが創設した社会問題解決型の市民メディアです。
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高市首相は就任直後、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議への出席やトランプ米大統領の来日など、外交でのイベントが相次ぎました。この日のメインテーマは高市首相の外交について、猿田代表の考えを聞くということでした。たかまつさんから質問を受けた猿田代表は「始まったばかりなので、本格的な評価はこれからかなとは思う」と前置きしながらも「所信表明演説でおっしゃったことや、過去のこれまでの発言や政策については分かりますし、今週はトランプさんとの会談やASEANでの外交デビューもありました。大きな舞台があったので、いくつかのことは言えるかなとは思います。トランプさんとの会談で明らかになったのは、高市さんが「米国第一主義」だということですね。これはトランプさんの合言葉ですけど、「米国第一主義」、すなわち、アメリカファーストということです。日米関係を強くする、それが日本外交の基軸だというのは、戦後80年間ずっとそうなんですが、今まで以上にそれを前に押し出すという感じが強い」と、高市首相がさらに日米関係の強化・一体化を進めるだろうとの印象を述べました。
たかまつさんが「それは日本にとって良いことですか」とさらに問いを重ねると、猿田代表は「日本とアメリカが同盟国で良い関係を保っていくこと自体は、とても大事なことです。特にトランプさんは本当に気まぐれで、今日何かを言っても、明日は違うことを言い出すような人ですから、そういう意味では、トランプさんを怒らせちゃいけないというのも正しい。仲良くしなきゃいけない。それは簡単じゃないけど、やらなきゃいけない、というのも正しいことだと思います」と、高市首相のトランプ大統領への対応に一定の評価を与えました。
ただ、高市首相がトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦する意向を明らかにしたことについて、猿田代表はまず、ノーベル平和賞の意義を次のように説明しました。「(日米首脳会談が) 成功したという声があることは知っていますし、私もそういう部分があるなとは思います。ですけど、ノーベル平和賞は私たち日本人にとって、すごく大きな意味を持つもので、特に被爆者の方々が昨年受賞したばかりのノーベル平和賞です。(しかし、ノーベル平和賞は、)世界には、人権侵害もあるし、民主主義が実現しない国もいっぱいあるけれど、でも良い世界を目指していきましょう、それに力を貸してくれた人たちが受賞する、という、「崇高なもの」という見方があるのではないでしょうか」。
さらにトランプ大統領がノーベル平和賞にふさわしいか、について以下のように述べました。「言うまでもないのですが、トランプさんは就任早々、グリーンランドは米国のものだとか、パレスチナは米国が所有してリゾート地に変え、バレスチナ人はそこにいなくていいというような、信じられないことを言ってきました。私は先月、ワシントンに行ってきましたが、街を軍人が普通に歩いています。軍人を動員して、ものすごく対立が激しくなっているのに、さらに社会を分断することをいとわない。これまでの大統領だったら、選挙が終わると「オールアメリカで行きましょう」と国の団結を訴えるのですが、それもない。メディアを国防総省から追い出し、メキシコ湾をアメリカ湾と表記しない記者は記者会見に入れないとか、ひどいことばかり。民主主義の発展に寄与するどころか、破壊している。人権も破壊しているし、法の支配も破壊している。(トランプ氏ではなく、)むしろ、そういう状況を変えるために頑張った人こそがノーベル平和賞をもらうべき」。
猿田代表はさらに日本が受賞を推薦することの影響についても触れました。「トランプさんのような人にノーベル平和賞をあげた方がいいですよ、(トランプさんって)素晴らしいですねということを、日本というかなり影響力がある世界第4位の経済大国がニコニコしながら言う。次の米大統領選挙までの3年間、日本が安泰であるためにその方がよいという考え方はあるかもしれない。
しかし、それによって、私たちが本当の意味で実現したいと思っている世界を壊しませんか。民主主義とか、法の支配とか、人権とかが守られる日本社会の実現や、困っている人が少しでもいなくなるような世界の実現が遠のきませんか。
トランプさんが作り上げたい弱肉強食の社会では、私たち日本は弱肉の「弱」の方なので、「強」の側に食われますけど、いいですか。それでも、弱肉強食の社会を実現するのに手を貸すんですか、ということだと思います。
トランプさんと仲良くなるために、いろんなことをするのは大事だけど、そこまでやると、むしろ自分の首を絞めませんか、と思っています」。
今回の番組は、NDの紹介から始まりました。また、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」のレギュラーコメンテーターとして9月末から毎週月曜日に出演していることでの大きな反響や出演に向けての準備についても話題になりました。猿田代表は「番組の終了後に、テレビ局の方から『どこから取ったファクトですか』と、ファクトチェックが入ることがあります。そういう時には必ず『これはこの文献で、こういう方がおっしゃっています』と資料をお見せしながら申し上げるので、テレビ局の方も『猿田さんはちゃんと裏を取って発言してくださる方』と言ってくださいます。」と述べると、たかまつさんは、「それって当たり前なんですが、多分珍しいから、そう言われちゃうんですね。」と答え、猿田氏は、「私は〝絶対裏を取ってしか発言はしない〟と決めているので、事前の勉強量が半端なくなっちゃいます」と打ち明けていました。
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