〔倉重篤郎のニュース最前線〕高市政権の「軍事経済」を斬る 猿田佐世ND代表、金子勝氏、山崎拓氏へのインタビュー記事が掲載|「サンデー毎日」(11月23日号)

11月11日発売の週刊誌「サンデー毎日」(11月23日号)に猿田佐世ND代表らのインタビュー記事が掲載されました。
猿田代表へのインタビュー部分を抜粋してご紹介します。下記よりご覧ください。

「サンデー毎日」(11月23日号)
https://mainichibooks.com/sundaymainichi/backnumber/2025/11/11/ 
〔倉重篤郎のニュース最前線〕
支持率70%超 高市政権の「軍事経済」を斬る
金子勝、猿田佐世、山崎拓が直言

(以下、記事より抜粋)

―続いて猿田佐世氏だ。トランプとの首脳会談どう評価?

「日米関係は重要なので気分屋のトランプ氏におべっかを使ってでも上手に人間関係を築きたい、という気持ちはわかる。ただ、どこまでやるかだ。‘腕を組んで歩いたり、飛び跳ねたり、すべてを捧げますという尽くし方をするのは、やはり度を超えている。節度のあるトランプ氏への親密感の出し方はあったと思う」

「特に、ノーベル平和賞への推薦は、首を傾げた。社会正義の実現のために貢献した人物に対して贈る賞だが、トランプ氏のやってきた事は、激しく人権を侵害し、民主主義を破壊し、国際協調を傷付け、つまり、ノーベル平和賞の目指す世界を後退させているのが誰の目から見ても明らかだ」

―会談の中身はどう?

「中身はあまりなかった。共同声明も記者会見もない。防衛費を対GDP3・5%と言われるのを恐れ、高市氏の方から所信表明の中で2%前倒し姿勢を先に見せる形になった。高市・トランプ関係を作るだけが目的の会談だった」

「高市氏は安倍継承を強調、それにおんぶに抱っこすることで評価を得ようとした。今後も使うだろう。安倍的なものは懐かしいし、強く見えるリーダーには一定の支持が集まる。ただ、世界は安倍時代から大きく変化している。安倍氏が唱え、高市氏も前面に打ち出す『自由で開かれたインド太平洋構想』は、米国が軸の対中包囲網に日韓豪など同志国や、東南アジアやグローバルサウスを取り込もうという枠組みだったが、東南アジアなどは良くて中立、踏み込んで聞けば、この数年で中国寄りになっている。」

「トランプ2・0になってからは、さらにその傾向が顕著だ。経済では、関税をかざして自由貿易ルールを毀損する。安保では、侵略されたウクライナより、侵略したロシアと緊密だ。高市外交は一言でいえば、『米国ファースト(第一主義)』で、トランプ氏の掲げる米国ファーストに、日本国の最高責任者である首相自らが与している形だ。運命共同体のようになっている。ただ、いま米国と一蓮托生の国はほとんどない。欧州は完全に米国から気持ちが離れている」

「高市作戦の決定的な弱点は、トランプ氏が日本のために一肌脱いでくれることを前提としていることだと思う。気に入られるのはいいが、それで何が勝ち取れたのか。若干関税交渉の手が緩くなるかもしれないが、台湾有事があった時に日本を助けに来る保証はない」

―助けに来ない?

「来ない可能性が高いでしょう。ウクライナも助けに行かなかった。ロシアと第三次世界大戦になり、米本土が攻撃されるのが嫌だからだ。中国はロシアよりも強い。核兵器も持っている」

「米国防総省は三つの派閥に分かれている。プライマシスト(優越派)という米国がまだ国際覇権を維持すべきという考え方と、プライオリタイザー(優先派)という中国との対立に優先順位を置こうという人達と、レストレイナー(抑制派)と言って、内向きでどこにも介入しないとする勢力がある。バンス副大統領は典型的なレストレイナー、不介入派だ。米国の軍事戦略の立案にあたるコルビー国防次官はプライオリタイザーで、中国との対立優先主義で、欧州からは撤退派だ。コルビーラインだと対中包囲網で日本、韓国、フィリピンなど同盟国との連携重視ということになるが、最終的には、トランプ氏が決める問題だ」

「つまり、トランプ政権が日本を守るかというと、そんな保証は全くない。もともとない保証だが、過去にあったよりももっと下がっている。それよりやるべきは緊張緩和に向けた努力。何かあったら戦争になってしまう国との外交、つまり対中外交だ。首脳同士が一回会って終わりではない。定例化、制度化する必要がある。韓国とはシャトル外交で合意したが、中国とこそ必要だ。安倍氏の遺産と言えば、習近平氏の国賓招待外交がコロナで実現しないままとなっているが、このカードを上手に使うことだ。最初の首脳会談で出してもよかった」

「先日ワシントンで、アーミテージ・ナイ報告書(アーミテージ元国務副長官、ジョセフ・ナイ元国防次官補らが数次にわたって出した日米関係に対する政策提言)の執筆者の1人と懇談、『今、あなたが日本政府だったらどういう外交政策をとるか』と聞いたら、二つあると言われた。一つは『米国以外の国とも仲良くしなければならない』。二つに『中国にはレス・アグレッシブ(攻撃的でない)になれ、仲良くすべきだ』と。トランプの米国は日本を守らないから中国と仲良くしないと日本が生きる道はないよ、という趣旨だ。かつて中国包囲網を作れと提言してきた人にそう言われた。でもリアリズムとしてそうだと思う」

「9月にベルリンに行ったが、欧州が米国離れしていると実感した。彼らは辟易している。欧州首脳の一人は『我々が知る欧米はもはや存在しない』とも言った。早く軍事力をつけ縁を切りたいという雰囲気だ」

―日本だけが対米一本足打法で浮いている感じだ。

「石破政権で少し路線変更したがまた一本足に戻ってしまった。高市氏は所信表明で『自由で開かれた国際秩序』が揺らいでいると指摘しながら、『自由で開かれたインド太平洋』を外交の柱にするというが、この二つは似て非なるもの。前者は法の支配や人権などの価値を尊重し、どの国にもオープンな国際秩序を指し、後者は中国包囲網を意識した概念。優先すべきは前者の国際秩序ではないか。それがあったからこそ、資源のない日本のここまでの経済発展と繁栄があった。それを守るために日本は動くべきなのに、トランプ氏にノーベル平和賞を受賞させようと言う。「トランプ米国が壊している『自由で開かれた国際秩序』を高市さん、あなたは一緒に壊すのですかということだ」

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