日米の進歩派議員が核の先制不使用を要求

Andrea Germanos
(Truthout 2022年4月3日掲載)

 日米両国の進歩派(プログレッシブ)議員は、米国が「いかなる時も、いかなる状況下においても」核の先制不使用の原則にコミットとする、という「良識ある(センシブル)」方針転換をバイデン大統領に求めている。

 この要求は、日本の岸田文雄首相にもあてられており、4月1日付けに共同書簡として提出された。同書簡の提出を主導したのは、米議会プログレッシブ議員連盟(CPC)議長であるプラミラ・ジャヤパル下院議員やバーニー・サンダース上院議員、そして日本プログレッシブ議員連盟議長(JPC)で参議院議員の中川正春氏らである。

 日米両国の議員らの要求には、ロシアのウクライナ侵攻が継続する中、プーチン大統領が声明で「核による威嚇」をちらつかせるなど、核戦争の脅威が高まっていることが背景にあるといえる。

 バイデン大統領は3月、同政権の「核態勢の見直し(NPR)」に署名したが、見直しの内容は、核不拡散を提言する活動家の期待に反して、核の先制不使用を掲げていたバイデン氏の2020年の選挙公約から遠ざかるものとなった。米国の政府高官によれば、NPRはむしろ、核戦争に応答するための核兵器の使用の可能性を残しているという。

 しかし、日米の議員らは共同書簡において、「核の先制不使用の宣言は今からでも遅くはありません」と強調している。

 共同書簡は、日米安全保障同盟における「核の傘」に言及する上で、次のように記している――「そもそも核攻撃に対する防衛は、米国の核の先制使用能力ではなく核の報復能力の保証に基づいており、先制不使用宣言によって米国の日米両国への防衛能力が低下することはありません。むしろ、核の先制不使用宣言は、不信や誤認、偶発的核発射の可能性を低下させ、核攻撃に対する防衛力を高めることになります。」

 加えて、同書簡において議員らは「日本の支持の下、米国から核戦争を始めることは決してないとする核の先制不使用宣言は、核戦争の危険性を低減させ、最終的にはその危険性を完全に根絶するための国際的な努力に新風を吹き込むことになるでしょう」とも述べ、その上で「これは、核保有国間、とりわけ米中間の緊張が高まっている今だからこそ特に重要な取り組みです」としている。

 AP通信が4月上旬に報道した通り、ロシアのウクライナ侵攻は新たな核攻撃の応酬の脅威をもたらしている。同紙は「米国の政府高官と世界の首脳陣にとっては、限定的な核攻撃への対応方法についての議論は、もはや机上の空論ではなくなっている」としている。

 また同紙は、こうした動きについて「ロシアが核兵器を戦術兵器として戦闘で使用することで、他国に対して核兵器を使用しないという約80年にわたる世界のタブーを破りうる、という大きな懸念がある」と述べた上で、「比較的小さな戦術核兵器でさえ、第二次世界大戦でアメリカが日本の広島に落とした原子爆弾の威力に匹敵する」とつけ加えている。

 日米両首脳に宛てられた書簡が提出された1週間前には、16人のノーベル平和賞受賞者がウクライナへの攻撃を直ちに停止し、核兵器を完全に廃絶するよう求める公開書簡を公表している。

 同書簡は「今こそ、核兵器を禁止し、廃絶する時です。核兵器を禁止し、廃絶することが、地球上に住むすべての人々を核戦争による存亡の危機から守る唯一の方法です」と主張する。

 さらに「核兵器が消えなければ、消えるのは我々の方だ」とも述べている。

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