基地問題 考え続けて 復帰50年シンポ 知事や若者ら議論

沖縄県は9月25日、復帰50周年記念シンポジウム「若者と考える米軍基地と沖縄の未来」を那覇市牧志の那覇市ぶんかテンブス館で開いた。玉城デニー県知事、タレントのryuchell(りゅうちぇる)さん、琉球大学の山本章子教授、まちづくりファシリテーターの石垣綾音さん、平和学習講師の仲本和さんが登壇した。

宜野湾市普天間出身のryuchell(りゅうちぇる)さんは小学校の頃、空で異様な動きをするヘリコプターが沖縄国際大学に墜落する場面を目撃したのを機に平和について考える意識が強まった。上京後、周囲との平和に関する意識のギャップを感じ、慰霊の日のSNS発信を続けている。「(基地に)賛成でも反対でもまず意見を持つことから始めようと投げかけることが大事」と話した。

中高生や大学生に平和学習をする仲本さんは、県外で活動する中で、平和を求めるが故に沖縄に基地を置いた方が良いという考えの学生が多いと感じている。仲本さんは「抑止力という聞き心地の良い言葉を掘り起こす必要がある。軍隊が平和を近づけているのか脅かしているのか、有事のために日常がどれだけ崩れているのか同時に考えないといけない」と話した。

ハワイで都市計画について学んだ経験がある石垣さんは、沖縄の基地問題について「自分たちの土地が返ってきていないのが問題だ」と話した。沖縄の基地は私有地が強制収用された背景がある。「司法に訴えても県民投票をしても耳を貸してもらえず座り込みにつながっている」と指摘した。

山本さんは全国にも米軍基地が点在することを踏まえ「仮に中国に攻められた際に危険なのは全国も同じだ」と話した。

質疑応答では高校生から「在日米兵と共存して独自の文化を観光業に生かせないか」との質問が上がった。玉城知事は幼少期、米軍関係者の家族と遊ぶ機会が多く、一人一人は同じ人間だとの認識を示した。

アメリカは州によって例えば制限内であればアルコール摂取後に運転できるなど法律が違う。玉城知事は「アンバランスな状況での共存が良くない。約束をクリーンにする必要がある」と話した。

221015琉球新報19面