新基地は「自治権侵害」日弁連シンポ憲法学者ら疑義

【東京】日本弁護士連合会は5日、東京・千代田区の弁護士会館で、名護市辺野古の新基地建設について地方自治や司法の観点から問題を考えるシンポジウムを開いた。憲法学者や弁護士らが登壇し、新基地問題は県と国の対立ではなく、「自治権侵害の問題だ」などと指摘した。会場とオンラインで市民ら計約370人が参加した。

専修大の白藤博行名誉教授は、県の不承認処分を巡り、国民の権利救済を目的とした行政不服審査法を使って、国が国土交通相に審査請求した点などに言及。

新基地を巡る問題は「国と県の争いではなく、国が県民の生活や経済、自治権や人権を侵害していることが本質だ」と訴えた。

東京都立大の木村草太教授は、建設場所が閣議決定などに基づいて決められた経緯を問題視。国が手続きを進めるための法的根拠が曖昧だと指摘した。

その上で「在日米軍基地は地元自治体の自治権が及ばない空間。閣議決定などを踏まえてそういった場所をつくることが、憲法の地方自治の本旨に適合しているか疑問だ」と強調した。

新外交イニシアティブ代表も務める猿田佐世弁護士は、米海兵隊が島しょに分散展開する作戦構想へと変わってきた経緯を解説。「大きくて動かない基地は標的になりやすい」などと語り、新基地の必要性に疑問を呈した。

パネルディスカッションには新基地を巡る訴訟の県側代理人を務める加藤裕弁護士や、岡田正則早稲田大教授も参加。今後の展望などについて議論した。

(東京報道部・新垣卓也)

20230606 沖縄タイムス2面