日米地位協定を考えるシンポジウム(主催・県)が22日、那覇市のてんぶす那覇で開かれた。フィリピンのオルランド・メルカド元国防相は基調講演で米軍基地を撤去させた経緯を振り返り、米国との対等な関係に向けて結んだ新たな協定の意義を報告した。玉城デニー知事や有識者らが出席したパネルディスカッションでは、地位協定の不透明な運用実態を批判し、見直しを求める声が相次いだ。
メルカド氏は上院議員時代、米軍の駐留延長を拒否した。米比は対等な関係になく、米兵による事件に苦悩してきたという。米軍撤退で経済崩壊を懸念する声もあったとしつつ「簡単な決断ではなかったが、国民が恐れていたより悪い結果ではなかった」と述べた。
1998年には米比の訪問軍協定を締結し、米国との関係の再構築に取り組んだ。「基地を拒否したが、相互協力を拒否したわけでない。現在フィリピンは基地を管理し、主権もある」と意義を強調した。
山本章子琉球大学准教授は、地位協定の合意議事録があるため「条文と実際の運用が違っている」と批判し、「合意議事録の法的な位置付けをはっきりさせ、変えるなり、廃止するなりの議論をすべきだ」と訴えた。
第5次厚木基地騒音訴訟弁護団長の福田護弁護士は、地位協定に国内法の適用を明記し、その順守を義務付ける必要性を指摘。琉球朝日放送の島袋夏子氏は、米軍基地への立ち入り規定などを定めた環境補足協定に「受け入れ義務が課されていない」と問題視した。玉城デニー知事は、県が行った他国地位協定調査の結果を報告した。(政経部・嘉良謙太朗)