デニー知事「日本は主権を放棄」 日米地位協定の改定訴え 沖縄県がシンポジウム開催

県は22日、日米地位協定の改定を目指し、シンポジウム「日米地位協定の改定に向けて―他国の地位協定との比較で見えた展望」を那覇市牧志のてんぶす那覇で開いた。定員の200人が埋まった。玉城デニー知事は県が他国の地位協定を調査したことを報告し「それぞれの国が自国の主権をしっかり行使している一方、日本では全く主権を放棄している。この状況をどう捉えるか、沖縄から全国に発信していく必要がある」と指摘した。

県が地位協定を調査したのはドイツ、イタリア、ベルギー、イギリス、オーストラリア、フィリピン、韓国。日米地位協定では在日米軍に原則として日本の国内法は適用されておらず、米軍に排他的な管理権が認めらている。一方、調査したうち韓国を除く6カ国は、各国の国内法が原則適用されていた。

基調講演したフィリピンのオルランド・メルカド元国防相は、上院議員時代の1991年に、在比米軍の駐留延長条約の批准拒否を推進。米軍はフィリピンから撤退した。フィリピンはその後も米側と協力関係を維持し、98年に出入国や刑事裁判権など、訪れる米軍人の扱いを定めた「訪問軍協定」を締結した。

メルカド氏は「恒久的に基地を受け入れることは拒んだが、友好関係は築いている」と話した。以前は毎年のように米軍人による事件があったとして「植民地とそれを統治する人というように、関係が対等ではなかった。今、フィリピンは(米国と)対等で、基地を管理できている」と話した。

パネルディスカッションには、山本章子琉球大准教授、琉球朝日放送の島袋夏子氏、神奈川県の厚木基地爆音訴訟などに関わる福田護弁護士も登壇した。(沖田有吾)

240923 琉球新報2面