番組の概要
新外交イニシアティブ(ND)の猿田佐世代表が10月27日のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」に出演しました。パネルを使って議論するメインのコーナーでは、高市内閣で就任した鈴木憲和農水大臣がスタジオ出演して、高止まりする米の価格に新政権がどのように対応するか、今後の日本の農業をどうするか、猿田代表を含め、コメンテーターが鈴木新農水大臣に質問して、突っ込んだ議論を展開しました。
各テーマの猿田代表の発言
緊張緩和の外交を
番組の冒頭ではまず、東南アジア諸国連合(ASEAN)への初外遊から帰国し、トランプ米大統領との首脳会談を控える高市総理大臣を取り上げました。支持率でも石破政権から急上昇した高市総理について、猿田代表は「安定した政権は良いことだと(海外からは)見られる。今回、ASEANが就任最初の訪問先であり、友好を深めて帰ってこられた。ASEANの国々は戦争に巻き込まれたくないというのが一番強い希望で、丁寧に立場を見ると、アメリカの側にも中国の側にもつかずに中立で行きたいというのが彼らの姿勢でもある。とにかく、対立を緩和してほしい、ということからすると米中が肝で、明日、高市さんはトランプさんと会うので、緊張緩和の方向を意識しながら外交をやってほしい」と要望しました。
農家と消費者のバランスをどう取るか
まず、米の価格への対応が話題になりました。猿田代表は「(石破政権が)増産を決めたときに、すごく大きなニュースになったが、また数カ月で転換して、元に戻ったという言い方をする方もいる。私の理解では、せっかく価格が高くなって、米を作るコストを考えても、儲かっていくかもしれないと農家が希望を見出した時にまた、政策を転換された。増産すると価格が暴落するんじゃないかという農家の不安を気遣われたのかなとも思うが、暴落への農家の不安を取り除きつつ、消費者としては一定の価格で食べたいという気持ちもある。そのバランスはどのように取っていくつもりですか」と、米の生産者を守り、消費者のニーズにも応えるバランスについて質問を投げかけました。
鈴木大臣は「猿田さんがおっしゃっていただいたことは、私がやりたいことそのものです。生産現場の皆さんは儲かれば儲かるほど良いのですが、消費者が〝これ高すぎるじゃないか〟と怒るほど儲けたいとは思っていない。設備投資ができて、しっかりした給与で人を雇えて、再生産が可能になる状態であれば、生産現場は増産したい環境ができる。その大前提は、価格の乱高下が経営にとっては最も厳しいということ。それを消費者の皆さんも受け入れていただき、生産現場が継続していける価格帯に持っていける需給環境を、私たちとしては作っていきたいと思いますし、その第一歩が今度お示しする需給見通しということになると思っている」と答えました。
マーケットの確保が大事
猿田代表はさらに「米の場合、製造業と違って、1年単位で考える産業。農業はすべてそうだと思うが、ここはどのようにサポートを考えているのか」と重ねて尋ねました。
鈴木大臣は「来年のことを示すのも大事なんですけど、10年先、20年先にどういうマーケットを政府として作ろうと思っているのか、ここが一番大事だと思う。現実に去年から今年はすごい増産になった。また来年もそのペースで増産しようとすると、売り先が今の時点で明確ではないわけですから、当然、大暴落ということになる。政府にはそうならないようにする責任があるが、かと言って米価は高止まりしていればいいなどと、私自身も思っていません」と説明しました。
中小農家をどう守るか
米の価格問題の背景にある農業政策について話題が移り、猿田代表は中小農家への対応について質問しました。「米の増産を決めた前政権の方針を変えるのは、農家を守るために必要という説明ができるが、他方、増産しようとしても、高齢化だとか猛暑だとか、いろいろな理由があって、5年後、10年後にはできなくなっているのではないか。そんな時にストップをかけてる場合ではないのではという意見も聞こえたりする。いろんな方に伺った中で、一番答えが出てこないのが、中小の農家さんをこれからどのように支えていったらいいのかというところ。大規模化するために田んぼを集約するなど、いろいろな努力がなされているが、大規模化すればするほどどこまでも生産コストが下がり続ける、というわけでもない。これからあと5年、10年で、もしかするとなくなってしまうかもしれない中小の農家をどう支えていくのか、そこをどう考えておられますか」と問いました。
鈴木大臣は「私たち国の役割は海外も含めて、しっかりと大きい需要を将来的には作っていく。その展望を示して、現場の皆さんと一緒にそっちの方向に向かってやっていくということ」だとしました。そのうえで、今後、農家の世代交代で進む農地の大規模化と機械化、新しい技術の導入にともなう1人当たりの農地面積の増加と経営規模の拡大が予想されると話して、そうした農家をどう支えていくのか、が課題になるという認識を示しました。さらに①価格が安定し、ある程度、先を見通した経営ができる、②規模を拡大するときに、個人経営ではなく、会社組織とする、を挙げました。「人を雇用するから、農地を広げられる話になる。人と機械への設備投資、人を雇うときにどれだけの給与を払いますかというのが、まさに問われている」と述べ、そこへの政府の支援がポイントだと指摘しました。
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