日本メディアが岐路に立つ今、東京新聞はどうあるべきか…木俣正剛さんと猿田佐世さんの提言|東京新聞(26年4月6日)

猿田佐世ND代表の論考が2026年4月6日付の東京新聞に掲載されました。

2026年春より東京新聞「新聞報道のあり方委員会」の委員に就任した猿田代表が、新聞報道における憲法の平和主義や専守防衛、非核三原則の重要性について寄稿したものです。

本ページでは、記事中の猿田代表の論考部分を抜粋してご紹介いたします。
※記事全文は2026年4月6日「東京新聞」をご参照ください。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/479019

(以下、抜粋)

平和原則の確認、権力監視の一丁目一番地 猿田佐世さん

戦争が頻発し、国際秩序の変貌もあり、安全保障関連の大型報道が激増している。日本の安保政策の大転換も続き、この国の形は大きく変わり続けている。出来事を丁寧に報じた上で日本の政策変化に触れ、限られた字数の中で懸念表明を続ける東京新聞にまず敬意を表したい。

昨年10月27日の東京新聞「危うい原潜保有」は、いち早く重要な問題を取り上げた。安保政策の変更は報じられた時には既定路線であることが多く、早期の報道は権力監視に欠かせない。

11月20日「問われる平和主義」での、現在進められる安保3文書改定の議論について、現行安保3文書(2022年閣議決定)が決定した2027年度までの年間防衛費の倍増についての検証が困難になる、との視点は見事である。

憲法に基づく平和主義、専守防衛、非核三原則などは日本の「国是」とされ、国を形づくる重要な概念である。高市政権では安保3文書の改定が予定され、平和主義、専守防衛がさらに骨抜きになる懸念が強く、非核三原則も危うい。

原則は守られねばならず、十分な理由と深い議論なしに変更することはそれ自体が大きな問題であり、「原則は守らなければならない」との確認は権力監視たるメディアの役割の一丁目一番地である。

さらに報じられるべきは、なぜその原則が今なお意義があるのか、との視点である。

例えば「武器輸出三原則」は武器の輸出を原則禁止していたが2014年に改定され、相次ぐ変更で日本の武器輸出は次々拡大。現在は、殺傷能力のある武器のほぼ無制限での輸出が認められようとしている。なぜ武器輸出は禁止すべきだと考えられたのかに立ち返らねばならない。

また、例えば「核兵器は安上がり」との論が一定の説得力を持って受け止められてしまう時代には、「非核三原則の瓦解(がかい)懸念」だけでなく、なぜ非核三原則が重要なのか、核被害の惨状、日本の核保持が起こすだろう核保有国の乱立で日本の平和が危機に瀕(ひん)しうる安保環境、「被爆国日本」が失う影響力など、報じるべきは山とある。

これらの原則が生まれた理由、なぜ日本の平和に役立つと考えられたか、なぜ「国是」と言われるまでになったか、その原則は日本の平和を具体的にどう守ってきたのか、このような視点が十分に指摘されてこそ、その原則が今なお破られてはならないとの説得力を持つ。

3月の日米首脳会談でイランに自衛隊派遣をせずに済んだのは、憲法9条のおかげである。いざというときに原則が生きるよう、普段から意識的に確認したい。

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猿田佐世(さるた・さよ) 1977年生まれ。愛知県出身。早稲田大卒、コロンビア大ロースクール修士号取得。2002年に日本、2009年に米ニューヨーク州で弁護士登録。アムネスティ日本など多くの非政府組織(NGO)で活動し、2013年に「新外交イニシアティブ(ND)」を設立し事務局長、2018年代表。沖縄県名護市辺野古での米軍新基地建設を巡る米議会の2016年度関連法案審議で、条項化が見送りになった「辺野古が唯一の選択肢」の削除を求め現地で提言活動に注力した。著書に「自発的対米従属 知られざる『ワシントン拡声器』」(角川新書)など。(写真は初沢亜利さん撮影)

※記事全文は2026年4月6日「東京新聞」をご参照ください。全文はこちら