米議会「辺野古懸念」削除 下院案 国防権限法案が通過
【ワシントン共同】米下院軍事委員会は6日までに、2021会計年度(20年10月~21年9月)の国防予算の大枠を定める国防圏法案を可決した。小委員会報告では、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に懸念を示した文言が盛り込まれていたが、共和党同委トップのソーンベリー議員が削除する修正案を出し、これが認められた。
小委の報告は「辺野古で計画継続に懸念がある」と明記。周辺で活断層や軟弱地盤が存在する可能性に言及した上で、海底の詳しい状況や活断層のもたらすリスクの評価、懸念の解消策など5項目について、エスパー国防長官に説明を求めていた。
国防権限法案は、上下両院がそれぞれの法案の審議を進めている。
国防権限法案「辺野古」除外 再度問題提起の可能性も
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削除は残念だが、沖縄にとっての大きな一歩ではある。国防権限法案の審議過程で小委員会の報告書に名護市辺野古の新基地建設について軟弱地盤や活断層への懸念が盛り込まれたという事実は後に残る。少なくとも何人かの米議員が問題を意識し、報告書に盛り込むという行動にまで移したということでもある。
米国側との交渉では「小委報告書に書かれていた」と示すことで、耳を傾ける人は俄然多くなる。強く懸念する議員がいることの証だからだ。将来、再び問題提起される可能性もあるからだ。削除されたとはいえ、何もない状態で訴えるのとは大違いだ。
米議会からこの懸念が示されたことは、日本政府にはより衝撃だろう。今後、「工事計画に問題なし」との働き掛けを試みるに違いない。
沖縄側から米国に働き掛ける上では、今回、小委報告書の記述に賛同した議員としっかりと連携することが重要だ。信頼関係をつくって次の一手を打っていく必要がある。