敵基地攻撃論 軍拡の口実に

柳沢氏、講演会で批判

政府、与党が検討を進める敵基地攻撃能力の保有について、元防衛官僚で内閣官房副長官補を務めた柳沢協二氏は24日、オンラインの講演会で「敵基地攻撃は相手に軍拡の口実を与えるだけで意味がない。論評に値しない」と批判した。

柳沢氏は、ミサイル発射を完全に抑止する手段はないとして、周辺国との緊張緩和を重視。「緊張緩和、妥協が追求されないと、ミサイルからの安全は成り立たない」との見方を示した。

さらに「脅威を与えず、敵をつくらないことが専守防衛であって、先制攻撃しなければ何をしてもいいわけではない」と指摘した。

柳澤協二氏(元内閣官房副長官補/ND評議員)

1970年東京大学法学部卒とともに防衛庁入庁、運用局長、人事教育局長、官房長、防衛研究所長を歴任。2004年から2009年まで、小泉・安倍・福田・麻生政権のもとで内閣官房副長官補として安全保障政策と危機管理を担当。現在、NPO国際地政学研究所理事長。
著書に『検証 官邸のイラク戦争』(岩波書店)、『亡国の安保政策』(岩波書店)など。