2020米大統領選と沖縄 基地負担軽減発信を

大統領選の日本への影響について質問を受け続けてきた。私から強調したいことは2点。一つ目は、地域の平和維持のためには、米国がどうあれ日本の私たち自身が自分で考え、行動を起こすべきだということである。

もう一つは、激化する米中対立に敵基地攻撃能力の導入などで油を注ぐのではなく、世界が米中のブロック化しないよう、米中のはざまに置かれ困難な立場にある多くの国と共に、米中に行動の抑制を働き掛けるべきだということである。

いずれが勝っても米国は中国への厳しい姿勢を続けるだろう。相対的に力を落とす米国の対中戦略の要は、いずれの陣営でも「同盟国との連携」である。同盟再構築を外交政策のトップに掲げるバイデン陣営のみならず、「同盟軽視」とされてきたトランプ政権も、7月のポンペオ国務長官の演説で民主主義国による「対中同盟」を呼びかけている。実際この1ヶ月だけでも、日米に豪印を加えた4カ国外相会談の定例化が決定され、4カ国軍事訓練が行われている。

しかし、米国と日本ではその利害も置かれている状況も異なる。日本の実情は「米国と中国の間で踏み絵を踏まされても困る(経団連中西会長)」状況であり、日本にとってブロック化が進んで良いことは何もない。例えば、東南アジア諸国からも「米中いずれか選ばせるな」との声が上がっている。

では、中でも沖縄の方々にお伝えしたいことは何か。沖縄は米中対立激化の負担を直接に受ける存在である。海兵隊で言えば「兵力ビジョン2030(2020年3月)」が発表され、戦車部隊の全廃やオスプレイ航空部隊の削減、海兵沿岸連隊の新編成などが提起されている。実施いかんは今後次第だが、沖縄の負担増減も含め、米軍再編の日米合意が改定される可能性もある。米中対立が激化し続ければ米軍基地の負担減は遠のいていく。

戦中の悲惨な経験、加えて、万国津梁の精神でアジア各国と関係を紡いだ琉球王朝の経験の上に、沖縄は、隣国と対立することの不利益を実感する地である。沖縄の負担増とならぬよう、辺野古反対の声、そして、米中対立激化を避けるべきであるとの発信を沖縄と共に続けたい。首脳の交代、そして米中対立激化という点からも、この1年は、今後しばらくの方向を決める正念場である。