戦争回避する議論必要 識者 外交の重要性訴え 北谷でシンポジウム

台湾有事が喧伝(けんでん)される中、シンポジウム「戦争を回避せよ」(主催・同実行委員会、共催・新外交イニシアティブ=ND)が1日、北谷町内で開かれた。元内閣官房副長官補の柳澤協二氏ら登壇者は「戦争に備える議論ばかりではなく、戦争を避ける議論を」と訴えた。(政経部・大城大輔)

柳澤氏は、防衛費の大幅増額や反撃能力(敵基地攻撃能力)などを盛り込んだ安全保障関連3文書に触れ「日本の政策や言論界全体は戦争に備える議論ばかりで、戦争をどうやって避けるかという議論が聞こえない」と現状を憂慮した。

台湾有事が「日本有事」となるかどうかは必然ではなく、米軍に協力するか日本の判断によると指摘。そうした判断を迫られないためにも「台湾有事を起こさせない外交を死に物狂いでやらないといけない」と強調した。

抑止には限界があり、相手が戦争を起こしてでも守ろうとする利益を脅かさない「安心供与」も同時に必要とした。

NDの猿田佐世代表は、在日米軍基地からの出撃に必要な日米の「事前協議」には、密約など抜け道があると批判。その上で、台湾有事に関しては「事前協議の対象になる。そして、必ずしも事前協議で基地を自由に使っていいと賛同するとは限らない」との声を上げることが重要と強調した。

屋良朝博前衆院議員は「(長射程化する)ミサイルの尺度で考えるのであれば、別に沖縄じゃなくてもいいのではないか」と例示し、「軍事イコール沖縄」のような固定化した議論を疑問視。「冷静に今の状況を見ないと、何となく沖縄という雰囲気になる」と警鐘を鳴らした。

230302 沖縄タイムス2面