【知事権限、海外発信を】(琉球新報 12月13日)
最高裁が県の意見も聞かずに高裁判決を追認することは許されない。裁判は各段階で問題があった。福岡高裁は3月に県と国に円満解決への協議を求めたが、政府は協議せずに7月、県を提訴した。一審の福岡高裁は県の8人の証人申請を却下し、県側の意見を十分に聞かないまま結審した。安全保障に精通していない裁判所が専門家の意見も聞かず、国の主張を追認するのでは司法の独立が失われる。
和解条項で県は確定判決に従うと言ったが、それは前知事の埋め立て承認の取り消しを取り消すことについてのみの話だ。移設問題について全て政府に従うのでは、岩礁破砕や工事の設計変更などさまざまな許認可権限が地方自治体に与えられている法の趣旨が没却される。知事の許認可権行使を理由に国が損害賠償請求を検討しているとの報道もある。言語道断だ。
米国では判決が出たら問題は決着と考えている関係者も多い。県知事が今後の手続きの判断権を持つことやその都度長期の裁判になる可能性があることをもっと発信しなければいけない。国が強硬姿勢を続ければ20年続く事態がさらに長引く。