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【「核の傘に頼る日本、核軍縮の障害」 日本の「核なき世界」拒否、米研究者が批判】(朝日新聞 4/26)
「核なき世界」を訴えた米オバマ前政権の発足時に日本政府が米側に核兵器維持を訴えていた問題で、米NGO「憂慮する科学者同盟」のグレゴリー・カラキ上級アナリストが25日、東京都内で記者会見し、核の傘に頼る日本の姿勢を核軍縮の「障害」と批判した。
会見でカラキ氏は、オバマ政権発足直後の2009年2月に開かれた米国の核戦略に関する米議会諮問委員会で、当時の秋葉剛男駐米公使(現外務事務次官)らが日本の立場を説明する際に配ったとされる文書を紹介。核の傘について「柔軟、信頼、即応、選別、隠密性があり、時に存在感を示す十分な抑止力を求めた」と語った。
さらに、この場でのやり取りが10年に発足した日米外務・防衛両当局幹部による「拡大抑止協議」につながったと述べ、「だから、トランプ政権が核戦略見直し(による核兵器の役割拡大)を発表した時も、河野太郎外相は高く評価した」と指摘。米中の核管理対話に携わる立場から、こうした日本の姿勢が「最大の障害だ」と訴えた。
この米議会諮問委での日本側の説明について、安倍内閣は今月10日、立憲民主党の逢坂誠二衆院議員の質問主意書に対する答弁書を閣議決定。説明は「外相の了解を得た政府の考え方」とし、当時の麻生内閣の中曽根弘文外相(参院議員)が了解していたとした。
「外相の了解」について、中曽根氏は朝日新聞の取材に対し、25日に文書で回答。「答弁書に加えることはない」とし、当時の外務省内や首相官邸とのやり取りについて「適切に行われたと思う。詳細は記憶していない」と答えた。
(藤田直央)