「為政者の圧力 今も続く」全国キャラバン 知事講演要旨/「辺野古唯一」は不合理 安保精通の専門家・記者ら指摘

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【「為政者の圧力 今も続く」全国キャラバン 知事講演要旨】(沖縄タイムス 6/12)

(知事就任前の)4期9年、衆院議員として沖縄の視点で政府に問い掛けたが、答えを持っているようで答えがない。琉球王国の存在を尋ねても「歴史があったことは承知しているが、国として独立していたかどうか関知していない」という言いぶり。まるで存在しなかったという歴史認識だとまざまざと知った。沖縄県民は1609年の薩摩侵攻から始まった抑圧の歴史を拭い去ることができない。為政者による圧力が今日まで続いている。最たるものが辺野古だ。

政府は「辺野古が唯一の解決策」と言うが、県民はどこと比べて唯一なのか説明を受けたことがない。説明を求めると「そういうことを出すのは、その地域の方々に失礼だ」と。われわれには失礼じゃないのか。辺野古の工事は何年、いくらかかるか分からない。県の試算では2兆5500億円、運用まで13年以上かかる。

国民が政治を動かすという思いを強く持ってほしい。やりたい放題の辺野古の現状を、ロシアのプーチン大統領は「知事が反対しても(工事が進む)そういう主権国家の姿をみると、平和条約を結ぶのは難しい」と言う。平和条約締結のブレーキを踏んでいるのは安倍晋三首相本人だ。われわれの政府は、外国にどんなメッセージを発しているか。皆さんの言葉と行動で政治を変えていこう。

【「辺野古唯一」は不合理 安保精通の専門家・記者ら指摘】

玉城デニー知事の全国キャラバンシンポジウムのパネルディスカッションでは、日米両政府の安全保障政策に精通した専門家や記者から、名護市辺野古の新基地建設が「唯一の解決策」とする考えが、合理性を欠いているとの指摘が相次いだ。

米ワシントンで取材してきた共同通信の豊田祐基子記者は、トランプ政権の誕生などを踏まえ「辺野古唯一」の前提となる日米間の同盟政策や安全保障環境が変わっているにもかかわらず、新基地建設の方針が変わらないことを疑問視。「辺野古を移設先としてベストだと考えている人と話したことはない。安保の常識といわれた『辺野古唯一』は本当か。極めて政治的につくられた物語ではないか」と指摘した。

日米地位協定に詳しい沖縄国際大学・大学院の前泊博盛教授は、国民の権利にも関わる議論をする日米合同委員会が米軍人や日本政府の官僚で組織されていることに「政治家が関わって国会で議論できるよう、合同委員会の改革を始めてほしい」として、地位協定の改定を求めた。

東京新聞の半田滋論説委員兼編集委員は在日米軍再編に関し、在沖米海兵隊のグアム移転の対象が、司令部要員から実戦部隊に変わっていることなどを挙げ、「(辺野古新基地建設の)前提が大きく変わっている」と説明。「(辺野古に)軍事的合理性はないし、政治判断でいかようにもなる」と主張した。

米シンクタンク「憂慮する科学者同盟」のグレゴリー・カラツキー上級アナリストは「中国から見て、沖縄の軍事基地問題は大きく見えていないのではないか」と指摘した。