フィリピンから学ぶ米軍撤退 地位協定も破棄通告し独自外交 NDが新著 米に従属しない安保目指す

米軍問題をはじめ、日本の外交・防衛政策を研究し、提言しているシンクタンク、新外交イニシアティブ(ND、東京)はこのほど、編著「米中の狭間(はざま)を生き抜く-対米従属に縛られないフィリピンの安全保障とは」(かもがわ出版、1300円+税)を発刊した。

フィリピンや東南アジアを取り巻く国際情勢を分析。1992年にフィリピンが米軍基地を撤退させた経緯、それを実現した市民の動き、基地撤去後の状況などを振り返っている。

また、98年に米国と訪問米軍地位協定(VFA)を締結した後の状況のほか、2020年にドゥテルテ大統領による比米地位協定の破棄通告など、独自外交を可能にするフィリピンの国内情勢を日本と比較しながら論じている。

「米軍基地なき安保」と言えるフィリピンが、対中国で見せるしたたかな外交政策などから、沖縄の米軍基地問題を解決する回答が見つかるのではないか、と提言している。

NDの猿田佐世代表は「市民の力で米軍基地を撤退させ、対立が激化する米中とバランスを取り、米軍基地なき安保を実現している」と指摘。米国との合意を守るために、反対する県民の民意を無視して辺野古新基地建設を進める日本政府に対し、「日本より小さく、力のない国でも実現していることがなぜできないのか」と投げ掛けた。

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(211231 沖縄タイムス2面)