研究・報告

自治体が挑む外交と沖縄の挑戦 猿田代表が地方議会議員に講演(25/10/28)

新外交イニシアティブ(ND)の猿田佐世代表が10月28日、東京都立川市で「自治体が挑む外交~トランプ政権下の日米関係と沖縄の挑戦」と題して講演しました。この講演は、NPO法人多摩住民自治研究所が主催する「議員の学校」の講座として会場とオンラインのハイブリッドで開催されたものです。会場には、多摩地域の地方議会議員を中心に、沖縄の議員など遠方からの参加者も含め約50人が駆け付け、講演に耳を傾けました。

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猿田代表はまず、第2次トランプ政権下で変質した米国や欧州、日本、台湾の状況を概観した後、外交のあり方について論じました。「外交が目指すもの」として ①各国間の信頼醸成 ②各国間の相互依存の促進-を挙げたほか、政府間だけではない様々な層での外交である「マルチトラック外交」や、外交の「制度化」について具体的に例を示しながら詳細に説明しました。

そして、この日のテーマである「自治体が挑む外交~沖縄の挑戦」に踏み込んでいき、米軍基地問題を抱える沖縄が実践してきた地域外交の努力を紹介しました。

沖縄は、琉球王国の時代から中国、東南アジアと交流・貿易を行ってきており「万国津梁」というアイデンティティをもつと紹介。また、米施政権下では、米圧政の改善を求めて米国に訴える外交が行われ、その後現在は、米軍基地問題を解決するための外交、および、地域の緊張緩和と信頼醸成ための外交がなされていると説明がなされました。歴代の沖縄県知事自らが米国など外国を訪問しているほか、沖縄県産業振興公社の形で県の海外事務所をアジア各地に設置。県は、昨年3月には「沖縄県地域外交基本方針」を発表、同年4月には、県庁に平和・地域外交推進課を設置するなど、47都道府県では際立って積極的な地域外交を模索・展開する沖縄県の取り組みを説明しました。また、沖縄県選出の国会議員や地方議員、辺野古基地建設に反対する市民団体など、層の厚い沖縄の地域外交についても報告がありました。その上で、NDがこれらをサポートし、沖縄の地域外交にNDが側面から関わってきたことについても紹介がありました。

猿田代表はこのほか、新しい外交を切り拓いてきたNDの実績として、米連邦議会議員で構成するプログレッシブ議員連盟に対応して、日本側でも国会議員によるプログレッシブ議員連盟の設立を支援し、日米のプログレ議連で3つの共同書簡を発出したことや、日中韓米4カ国の専門家による会議を毎年開催していることなどを紹介。最後に「耐えがたい戦争を受け入れる困難さは外交による問題解決の困難を上回る。最後まで外交を諦めてはならない」というND提言に書かれている言葉で講演を締めくくりました。