【琉球新報 12/8】

訪米活動戦略的必要に

 
新外交イニシアティブ(ND)では、3年の研究を経て、本年2月に提言書「今こそ辺野古に代わる選択を」を発表した。普天間を閉鎖し辺野古に基地を作らなくても、海兵隊の米本土からのローテーションを変えることで海兵隊のアジア太平洋地域での任務に支障はない、と論じる内容である。日本での発表後、この夏にはワシントンでも報告書を発表し、米国の政府・議会関係者にも説明して回った。以下、米国への訴えという視点で雑感を述べたい。
 
これまで沖縄の方々による多くの訪米活動がなされてきたが、私がこの夏の半分を過ごしたワシントンでは、これまでの訪米団の成果を感じることとなった。例えば、議会関係者の多くが、「沖縄の訪米団が来たのでこの問題は知っている。その後のアップデートを」とのコメントから面談を開始したのである。8年前、私がワシントンで働きかけを始めたときにはほとんど誰もこの問題について知らなかったことを考えると隔世の感がある。
 
もっとも、一定の周知が進んだ現段階では、誰に(例えば米議員に)、どう動いてもらうのか(例えば、どの法律・予算を変えてもらうのか。)をしっかりと見据えた戦略的な訪米活動が必要である。過去の訪米団の面談の結果を踏まえながら作戦を練り、面談相手の関心事を見据えてどの角度から訴えるのが相手に響き、相手が動きやすいか等、分析した上での働きかけが必須である。何よりも、共に継続的に動ける味方を作らねばならない。短期・中長期それぞれを見据えた効果的な米国への訴えかけをいかに実現するか、容易ではないと痛感しながらも、既に沖縄の米国への働きかけはその段階に移るべきだと私は感じている。
 
今回の報告書は、米国の政策決定権者から面談の際に繰り返し投げかけられる「反対はわかった。でも軍事的に大丈夫か」という質問への、軍事の視点からの我々の回答である。残念ながらすぐ効果が出るものではないが、即効性ある解決法がないこの問題において、マイク・モチヅキ氏(ND評議員)が言うように「ワシントンにサブリミナル効果を与えるために」一つの手段として使い続けたい。
 
もっとも、視点を国内に戻せば、「普天間も辺野古もなくても安全保障に問題なし」、このサブリミナル効果は、米国だけでなく日本でも、いや実は、沖縄でももっと広まらねばならないのかもしれない。12月11日の稲嶺名護市長も登壇する名護シンポでは、多彩な論者が、経済や安保など様々な角度から日米両政府のいう「辺野古が唯一の選択肢」論を分析する。選挙イヤーを迎える沖縄で、また東京や米国で、今後どのような取り組みをすべきか、皆で議論したい。