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【「在沖海兵隊撤退を」 米シンクタンク・バンドー氏 陸上戦力は不要】(琉球新報 1/8)
米保守系有力シンクタンクのケイトー研究所で上級研究員を務めるダグ・バンドー氏が7日来沖し、琉球新報のインタビューに応じた。バンドー氏は在沖米海兵隊について「沖縄の過剰な基地負担や必要性からしても、もう立ち去るべきだ」と本国への撤退を提起した。さらに尖閣諸島有事や朝鮮半島有事では「米国は陸上戦力(海兵隊)を使うとは思わない。海兵隊はあくまで支援部隊だ」と述べ、海兵隊の東アジアでの必要性も否定した。
尖閣諸島の有事や紛争を想定した時の米軍の対応を巡っては「尖閣がどうとかではなく、朝鮮半島で起こっていることに注目している」と説明した。その上で「中国だと海域、空域の軍事活動の方が気にかかるところだろう。(尖閣への対応は)最終的には日本が決めることで、米軍は直接関係していることではない」と断じた。
沖縄で軍事駐留が続く現状については「沖縄は日本と米国との『陰謀』の犠牲になっている」と解説した。基地問題で沖縄が要求しても「ワシントン(米政府)は日本政府に言えと言う。日本政府にとっては、遠く離れた、政治的に力もない沖縄に基地を置いておくのが簡単。日本と米国は共に沖縄を犠牲にして利益を得ている」と指摘した。
バンドー氏はこれまでも海兵隊撤退論を展開している。沖縄は1995年の少女乱暴事件後に来沖して以来2度目。米海兵隊普天間飛行場や辺野古新基地建設の現場を視察するほか、稲嶺進名護市長や安全保障などの研究者とも面談する。
ケイトー研究所は、他国への軍事介入を嫌うリバタリアン(自由至上主義)系のシンクタンク。これまでにも海兵隊の本国への撤退論を展開しており、ジョン・グレーザー外交政策研究ディレクターも昨年9月に、「米軍は海外基地から撤退すべきだ」とする政策分析リポートを発表している。