【『週刊ダイヤモンド』11/12号】

猿田佐世著「新しい外交を切り開く」は、弁護士としての経験と知識を生かしユニークな民間外交を展開する猿田氏の思いが率直につづられた良い本だ。

<私はワシントン留学中に日本外交のゆがみに気づき、疑問をもった。そのことをきっかけに日米外交システムを研究するようになって七年になる。また、既存の外交パイプがまったく運ばない声をワシントンに伝えたいと思い、アメリカ政府や議会へのロビイングを行ってきた。そして沖縄の方々などの訪米ロビイングを企画し、同行してきた。こうした活動は、「外交も国の政策である以上、民主主義的な要素が反映されなければならない」との思いから始まったことである>と猿田氏は述べる。

外交は政府の専管事項であるとしても、そこで拾い切れない民意をさまざまな手段で伝える猿田氏の努力は真の国益のために重要だ。

佐藤優(元外務省主任分析官、作家)