【琉球新報 社説】

社説「辺野古唯一」に代案 合理性を世論に訴えよう

米軍普天間飛行場の危険性除去には「辺野古が唯一の解決策」と安倍政権は言い続けている。それに論理立てて反論し、辺野古に代わる案を民間のシンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」が提言書にまとめた。普天間飛行場に代わる「場所」を探すのではなく、米軍自体の運用を変えることで解決策を得るという、発想の転換とも言える内容だ。合理性もある。

提言書は普天間飛行場を使う米海兵隊にとっての沖縄の位置付けから解き明かす。

海兵隊の各部隊は約半年ごとのローテーションで沖縄に駐留している。沖縄はローテーション部隊と佐世保(長崎県)からの揚陸艦を合流させる「ランデブーポイント(落ち合い場所)」として機能している。提言は海兵隊が運用を見直すことで「ランデブーポイントは沖縄でなくてもよい」とした。

さらに海兵隊の役割がかつての「前線部隊」から「人道支援・災害救助」に変わったことも指摘する。米国は長期にわたるテロとの戦いの結果、紛争地での人道支援こそがテロの抑止になると政策を転換している。自衛隊が米軍の人道支援・災害救助任務に協力する枠組みをつくることで、アジアの国々との信頼関係の醸成、地域の安定化に向けた基盤構築につなげられる。

そもそも「辺野古が唯一」に確たる理由がある訳ではない。

鳩山政権時代の2010年、普天間飛行場の徳之島移設を断念する理由として、日本政府は、米軍のマニュアルで「航空部隊と陸上部隊は『65カイリ』(約120キロ)以内にないといけない」と説明してきた。鳩山政権はこの距離の問題で県内移設に立ち戻った。

しかし後に在沖米海兵隊は本国にも確認した上で「海兵隊の公式な基準、規則にはない」と否定したのだ。

米軍再編によって主力部隊がグアムなどに移転した後は、司令部機能と共に県内に残る第31海兵遠征部隊(31MEU)は約2千人程度でしかない。それを「抑止力」と言うのは神話であり、辺野古新基地を造るための後付けの理由でしかないという指摘は論理的だ。

辺野古の海の埋め立てが迫っている。沖縄側から辺野古に変わる案を構築し、日米の世論に訴えていく機運づくりが必要な時期だ。