【北海道新聞 9/17】

米、日本のプルトニウム懸念 原子力協定 来年7月に期限

日本の核燃料サイクル政策に不可欠な日米原子力協定が来年7月に期限を迎える。日本の超党派の国会議員や民間非営利団体(NPO)が今月中旬、米首都ワシントンを訪れ、国務省高官や連邦議会議員らと意見交換し、協定の行方を探った。協定改定は見送り「自動延長」が妥当との見解で一致した一方、米側からは日本が国内外に蓄積する約48トンのプルトニウムを巡り、消費の見通しが立っていないことに懸念が示され、余剰プルトニウムを増やさない意思表明が必要だとの指摘も出た。

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「日本政府には良い機会だ。余剰プルトニウムを増やさないこと、蓄積したプルトニウムを減らすことを約束すべきだ」。訪米団が参加してワシントンで13日に開かれたシンポジウム。オバマ前政権で核不拡散政策を担当したカントリーマン前国務次官補は訴えた。

核爆弾5千発以上に相当するプルトニウムを日本が抱えていることについて、米国内では安全保障上の懸念がある。日本政府は16~18基の原発でプルトニウムを含む混合酸化物(MOX)燃料を使う「プルサーマル」を行う計画だが、東京電力福島第1原発事故を受けた安全審査の厳格化で再稼働した原発は現在5基にとどまり、うちプルサーマルは3基で行っているだけだ。青森県六ケ所村の再処理工場が稼働すれば、年間数トンのプルトニウムがさらに積み上がる。

前政権で米国家安全保障会議(NSC)上級部長(軍縮・不拡散担当)を務めたウルフソル氏は「日本が再処理を続けた場合、韓国がどのような反応をするか。日本が核燃料サイクルをやめると決めれば米政府は支援する」と述べ、日本と同等の再処理の権利を主張する韓国を抑えるためにも、核燃料サイクル政策の見直しが必要だと指摘した。

ただ協定改定については「大変な労力が必要。日米両政府とも何かしたいとは考えていない」(カントリーマン氏)との理由から、自動延長が既定路線との見方で一致した。

訪問団は滞在中、国務省も訪れ、高官と非公式に意見交換した。関係者は、トランプ政権に交代したが、米国の原子力政策は変化していないと感じたという。

今回の訪米は、原子力資料情報室とシンクタンク「新外交イニシアティブ」が企画。現職国会議員は自民党の阿達雅志参院議員、民進党の逢坂誠二衆院議員が参加した。14日の締めくくりの記者会見で逢坂氏は「日本の原子力政策の変更は米国の同意が必要と言われていたが、そうではなく、日本の主権の問題であることが改めて分かった。一方、プルトニウムの問題は日米の緊密な協議が必要だ」と総括した。

日本、減らす約束を

核政策が専門の米カーネギー国際平和財団研究所ジェームズ・アクトン上級研究員(38)の話

核不拡散の取り組みに実績がある日本がこのようにプルトニウムを蓄積して、悪い前例になることを懸念している。核兵器保有に野心を持つ国々が、核兵器に転用可能な核燃料を蓄積する釈明になるからだ。またプルトニウム蓄積は地域の緊張を高め、核テロの危険性を高める。日本が一定期間で高速増殖炉を開発できるかどうか、私は非常に懐疑的だ。一方のプルサーマルは技術的ハードルは低いが、政治的には難しい。MOX燃料を使う16~18基の原発を10年以内に稼働するのは困難だし、六ヶ所村の再処理工場もプルトニウムを増やす。つまり日本には現時点で蓄積したプルトニウムに対処する信頼ある計画はない。日米原子力協定の再交渉は好ましい選択ではない。米国が協定継続を認める代わりに、日本はプルトニウムを減らす信用できる約束を行うべきだ。政治的に拘束力がある協定の付属文書が望ましい。日本は利用目的のないプルトニウムは保有しないと約束しているが、保有に期限がないことも問題だ。文書にはプルトニウムの生産から消費までのタイムリミットを明記すべきだ。