【琉球新報 12/12】

海兵隊の抑止力「方便」 ND安保、経済の観点で討論

 
【名護】シンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」は11日、名護市民会館でシンポジウム「辺野古が唯一の選択肢に立ち向かう 安全保障・経済の観点から」を開いた。登壇した識者は「新基地がなくても安全保障は成立する」と強調し、政府が沖縄に基地が必要な根拠として主張する米海兵隊の抑止力や地理的優位性に反論した。
 
シンポジウムは猿田佐世弁護士を進行役に、防衛省出身で元内閣官房副長官補の柳沢協二氏、ND評議員の屋良朝博氏、東京新聞論説兼編集委員の半田滋氏、名桜大准教授の真喜屋美樹氏がパネリストを務めた。
 
柳沢氏は、高まる北朝鮮脅威論に「米軍基地の存在に北朝鮮が恐怖を感じるから、ミサイルを撃つかもしれないという危険が生まれる」と述べ、「(沖縄の)地理的優位性は対中国を念頭に語られるが同じことが言える。こちらが有利なら相手には不利だ。不利になる場所をたたくのは戦争の常識だ」と指摘した。
 
半田氏は、2006年に日米両政府が合意した海兵隊の移転に触れ「合意当初は司令部の移動だった。沖縄は実働部隊の移転を要望したが、抑止力低下を理由に日本政府がはねつけた。ところが、12年に米側からの提案を受けて実働部隊8千人のグアム移転が決まり、2千人だけが残ることになった。大幅な抑止力の低下のはずだが、政府は一切、説明していない」と指摘した。「抑止力は日本政府が米国の要求を実現する方便だと考えざるを得ない。抑止力を理由に辺野古新基地を受け入れる必要は全くない」と主張した。
 
屋良氏は「(海兵隊の状態を)消防に例えると消防車は長崎、隊員は沖縄ということ。地理的優位性というのは詭弁(きべん)、虚像だ」などと語った。真喜屋氏は、1970年代に開発ではなく自然の豊かさに市の発展を見い出した名護市の構想「逆格差論」を説明し、「逆格差論をつくった名護だからこそ、市民一丸となり返還後のビジョンについて取り組めば、確かな結果がついてくる」と話した。
 
シンポジウムに先立ち、沖縄観光コンベンションビューローの平良朝敬会長が「やんばるの魅力と観光」と題して基調報告した。平良氏は那覇と北部を結ぶ高速船就航構想や名護市から海洋博までをロープウエーで結ぶ構想などを語った。