【北海道新聞 4/11】

日米原子力協定とプルトニウム 政策見直し将来像議論を

 日米原子力協定が満期を迎えるのを機に、日本国内でも核燃料サイクル政策について、広く国民全体を巻き込んだ議論をする必要があると考えています。
 
 既に約47トンもプルトニウムがたまる中で、さらに再処理を行ってプルトニウムを取り出していいのか。これまで1兆円以上かけた高速増殖炉もんじゅや、建設費が2兆円を超える六ケ所村の再処理工場など、核燃サイクルにどれだけのお金がかかっているのか。国民にきちんと情報を開示する必要もあります。
 
 電力会社のホームページではある日突然、核燃サイクルを説明する図から、もんじゅが消えてプルサーマルだけになりました。以前はもんじゅが核燃サイクルの柱と言っていたのに、今はプルサーマルでサイクルを回すと言っている。かつて「夢のサイクル」と言ってエネルギーを生み出すのが目的だったはずなのに、今は再処理路線の維持が目的になっている。何兆円ものお金をかけて行う国策で、そんなごまかしが許されていいはずがありません。
 
 原発の稼働自体が困難な中、プルサーマルでプルトニウムを消費するにしても量はたかだかしれています。再処理すればますます増える。3年後の稼働を目指している再処理工場はいったん無期限停止し、その間に核燃サイクル政策をどうするか立ち止まって考えるべきです。
 
 日本で再処理はエネルギー政策の問題とされていますが、米国では安全保障の問題だと考えられています。「ニュークリア」という英語を、日本では「核」と「原子力」と使い分けます。「核兵器」と言っても「核発電」と言わない。米国では同じ「核」という認識です。私が事務局長を務める「新外交イニシアティブ」で米国の議員や有力者に聞くと、もし日本が再処理をやめるなら歓迎するという意見が多い。日本が再処理を行うことやプルトニウムをためることに積極的に賛成している人は米国にはほとんどいません。他国からも「なぜ日本にだけ再処理を認めるのか」と言われており、米国にとっても頭の痛い問題なのです。
 
 2012年に当時の民主党政権が「30年代に原発ゼロ」との政策をまとめた時、米国が反対したと報道されました。しかし原発を止めるなという米国の意見は、原発を続けたいと目論んだ日本の一部勢力が都合良く呼び込んだ声でした。私は「ワシントン拡声器」あるいは「日本製の外圧」と呼んでいます。実際のところ、当時米国には、原発ゼロと言いながら再処理は継続するという政策の明らかな矛盾についての疑問も多く出ていました。でもそうしたことはなかなか日本に伝わりませんでした。
 
 原子力協定の満期を迎え、新しいフェーズ(段階)に入る今こそ、日本の核燃サイクル政策を見直す好機です。
 
 さるた・さよ 愛知県出身。早稲田大卒。米コロンビア大法学修士号取得。日本と米ニューヨーク州で弁護士登録。2013年に創設されたシンクタンク「新外交イニシアティブ」で事務局長。共著に「アメリカは日本の原子力政策をどうみているか」など。41歳。