[ニュース断面]政府「県の立場」は顧みず 基地問題 知事が訴え キャラバンで世論喚起期待

【[ニュース断面]政府「県の立場」は顧みず 基地問題 知事が訴え キャラバンで世論喚起期待】
(沖縄タイムス 6/13)

上京中の玉城デニー知事は12日、防衛省と環境省を訪れた。有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)や、「K8」護岸からの陸揚げなど要請内容は多岐にわたり、沖縄が抱える課題の山積している現状を浮き彫りにした。ただ、岩屋毅防衛相は県民投票後と同様に「県の立場、国の立場」の違いを主張。工事中止の訴えに耳を傾けるそぶりはない。一方の知事は要請に先立つ11日、東京で全国キャラバンをスタート。無反応の政府を尻目に、国民世論の喚起で状況の打破を目指す。

「県のお立場、国の立場もそれぞれある。国の立場をご理解いただきたい。そういうコメントだった」

12日午前、防衛省。岩屋氏との面談後、内容を記者団に問われた玉城氏は、ぶぜんとした表情でやりとりを再現した。辺野古の工事を巡り、依然として埋まらない県と政府の溝。岩屋氏の発言に政府関係者は「工事に違法性はない。これまで通り工事を進めるという趣旨だろう」と解説する。

「またそんなことを言ったのか。信じられない」

県幹部は岩屋氏の発言に絶句した。県民投票で示された圧倒的な反対の民意に対し、岩屋氏が言い放った「沖縄には沖縄の、国には国の民主主義がある」との発言が頭をよぎった。

岩屋氏は「国の民主主義」発言後、国会で野党の追及を受けて謝罪した。にもかかわらず同様の発言を繰り返す。「地方自治をなんとも思っていない。何が何でも辺野古を進めるんだという考えしかない」とあきれ果てた様子だった。

別の幹部は辺野古に理解を求めたことに「法律を都合よく解釈し、県の埋め立て承認撤回を取り消すような行動を理解できるはずがない。国こそ県の立場を理解し工事を中止すればいい」と語気を強める。

ただ、ピーホスなどの基準値設定を求めた要請に、厚労省が来春に「目標値」の設定を目指す方針を示すなど、「一歩前進」(県幹部)もあった。

県は11日にも、嘉手納基地周辺の住民から取水中止の要請を受けたばかり。

知事は、厚労省に先立ち訪れた環境省での要請後、記者団に「こういう不安を早く解消できるよう、払しょくできるよう進めてもらえると思う」と国の前向きな姿勢を歓迎した。

政府関係者は「環境問題はあまり先延ばしできない」と語り、国への怒りが拡大することを回避したい思惑も透ける。

ただ、新基地建設を阻止する正攻法には手詰まり感も漂う。県幹部は「キャラバンで全国世論への理解を深めつつ、抗告訴訟、訪米へとつなげていく」。“急がば回れ”の戦術を描いている。(東京報道部・又吉俊充、大城大輔、政経部・銘苅一哲)