研究・報告

ND台湾現地調査の報告会開催  昨年秋台湾で政界関係者ら聞き取り

新外交イニシアティブ(ND)が昨年秋に実施した台湾現地調査の報告会が7月13日夜、オンラインで開催されました。この報告会は、台湾現地調査の渡航費用などでご支援いただいた方々、また、普段からNDの活動をご支援くださっている会員の方々を対象に開いたものです。

現地調査は、猿田佐世代表と巖谷陽次郎事務局長、宮良麻奈美事務局スタッフ、それにNDアジア太平洋プロジェクト・メンバーである島村海利、徳田裕哉、遠藤良、いずれもND研究員/弁護士の計6人が実施。昨年9月29日から4日間、台湾の立法委員や政府関係者、研究者、ジャーナリストなど17人に聞き取り調査を行いました。今回、その内容をまとめた報告書を発表するとともに、報告会で調査結果や台湾の現状について説明しました。

猿田ND代表のあいさつで報告会はスタートしました。まず、ご支援くださった方々への感謝を述べて、台湾の人たちの中国に対する多様な意識、距離感を概説しました。高市首相の「台湾有事発言」は現地調査の約1カ月後でしたが、現在の頼清徳総統(民進党)は台湾有事発言を「地域の平和と安定に資するものだ」と評価したのに対し、かつての総統、馬英九氏(国民党)は「軽率な言動である」との趣旨をSNSに投稿したことを紹介。また、台湾の声は様々あるのに、日本に届いているのは、頼清徳政権の声に限られていると指摘し、「非常に外交の偏りがある」と締めくくりました。

続いて、宮良ND事務局スタッフがプロジェクト概要を説明。「米国のトランプ政権により、国際秩序が大きく揺らぎ、日米同盟のあり方も問われている今、日本の安全保障政策を見直し、独自の外交戦略構築が急がれる。特に、台湾有事の回避や、地域の緊張緩和に向けた具体的な方策を示すことが喫緊の課題だとの問題意識から、台湾の調査を実施した」と、現地調査の意義を話しました。

この後、現地調査の具体的な説明に移り、遠藤良ND研究員/弁護士から、面会した主な関係者の紹介がありました。民進党の元副総統や元主席、国民党の元立法委員や副主席、民衆党の現立法委員、国防安全研究院・中央研究院・国立政治大学・輔仁大学の研究者、海峡交流基金会の副秘書長やジャーナリスト等、計17人について、写真を映しながら、面談の内容を短く紹介しました。

島村海利ND研究員/弁護士は「シリコン・シールド―台湾の経済安全保証」と題して、台湾経済を支える半導体産業が世界市場でも大きなシェアを占めていることを解説。受託生産では、TSMCを筆頭に台湾企業が世界市場で圧倒的なシェアを誇り、その状態が台湾の安全保障にとって「シリコン・シールド(シリコンの盾)」とみなされていると指摘しました。

最後に徳田裕哉ND研究員/弁護士が台湾の対中政策について報告しました。特に、1992年に中台が形成したとされる「92年コンセンサス」について、国民党は「”一つの中国”の中身についてはそれぞれ(中華民国と中華人民共和国)述べ合うことで合意した」と解釈し、民進党は存在そのものを認めないなど、政権交代を繰り返してきた両党で評価が分かれることを概説。「一つの中国」や「統一」について、陳水扁政権で中華民国史上初の女性副総統となった呂秀蓮氏が、中国共産党下の中国と同じ国となることは台湾人には受け入れ難いが、「一つの中華」や「統合」なら受け入れられるだろうと指摘するなど、面会した関係者からは中国へのアプローチについても多様な考え方が示されたことが報告されました。

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