研究・報告

辺野古県民投票 マイク・モチヅキ氏に聞く 県はSACO開催主張を 投票率を評価

【辺野古県民投票 マイク・モチヅキ氏に聞く 県はSACO開催主張を 投票率を評価】(琉球新報 2/27)

米軍普天間飛行場の移設計画を巡り、24日に行われた名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票は、埋め立てに「反対」の得票が7割を超えた。投票結果は日米両政府にどのような影響を与え、県は両政府とどう向き合うべきか。マイク・モチヅキ米ジョージ・ワシントン大准教授(日本政治、日米関係論)に聞いた。

―県民投票の結果をどうみるか。

「県民の圧倒的で幅広い反対が確認された。投票率は52・48%と1996年の県民投票を下回ったが、直前まで不参加を表明していた5市の論争と、選択肢に『どちらでもない』を追加した妥協案を考えると、依然として非常に高い投票率で評価すべきだ。2017年10月の衆院選の投票率は53・68%であり、安倍政権は投票率を理由に県民投票結果を否定できない」

「反対票が県知事選での玉城デニー知事の得票数を大幅に超えたことは重要だ。幅広い層の県民が反対を示している。玉城知事が歴代最多得票だったことを考えると、特に注目に値する。宜野湾市と名護市の有権者の反対は半数を超え、これら2市の市長選の結果が現行計画への地元の支持を示したという政府の主張を弱めさせた」

―投票結果は日米両政府に影響を与えるか。

「残念ながら両政府とも代替策を検討しようというイニシアチブを取らないだろう。貿易問題と北朝鮮を巡る日米関係の不確実性を考えると、安倍晋三首相はトランプ米大統領に沖縄の問題を提起することに消極的だ。両政府の防衛、外交担当者はこの問題を再検討することに関心も意思もなく、投票結果は彼らの考えを変えられない」

―県はどう動くべきか。

「県庁の当局者は世論や政治家、ジャーナリストを巻き込み、日米の外交や防衛の専門家と連携し、これまでより積極的、創造的、かつ効果的に動く機会と義務がある。沖縄の状況に共感している人も多い。県は沖縄の声が反映される新たな日米特別行動委員会(SACO)の開催を主張すべきだ。約23年前のSACO合意以来、安全保障環境と日米同盟の在り方は大きく変わっている」

「軟弱地盤の問題で現行計画はより複雑になり、予定より期間も長く費用も膨大にかかる可能性がある。県民投票の結果は県にとって現行計画より効果的かつ効率的で、日米同盟を支える沖縄の負担を大幅に軽減する現実的な代替策を検討するために、日米の専門家と協力する好機と推進力となるだろう」

(聞き手 座波幸代)

マイク・モチヅキ氏(米ジョージ・ワシントン大学准教授/ND評議員)

ジョージ・ワシントン大学准教授。ハーバード大学にて博士号取得。専門は日本政治および外交政策、日米関係、東アジア安全保障。南カリフォルニア大学およびイェール大学で教鞭をとり、ブルッキングス研究所シニア・フェロー、ランド研究所アジア太平洋政策センター共同部長などを歴任。2001年から2005年、ジョージ・ワシントン大学エリオットスクール(国際関係学)のAsian Studies(アジア学)のためのガストン・シグール記念センター所長。現在は、同センター日米関係部長を務め、また同センターの「アジア太平洋における記憶と和解」研究・政策プロジェクトの共同責任者も務める。