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新外交イニシアティブ(ND)設立一周年記念(沖縄)・ 『虚像の抑止力』(旬報社)出版記念シンポジウム

どうする米軍基地・集団的自衛権―オキナワの選択―

(‘14/8/25 於:那覇市)

シンポジウムの映像はこちらからご覧いただけます

8月25日(月)に新外交イニシアティブ(ND)設立一周年記念(沖縄)・ 『虚像の抑止力』(旬報社)出版記念シンポジウム「どうする米軍基地・集団的自衛権―オキナワの選択―」を沖縄県那覇市の沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハのホール、ニライカナイで開催しました。今月発刊した『虚像の抑止力 ―沖縄・東京・ワシントン発 安全保障の新機軸―』の著者5人のうち、柳澤協二ND理事(元内閣官房副長官補)、半田滋氏(東京新聞論説兼編集委員)、屋良朝博氏(元沖縄タイムス論説委員)、そして猿田佐世ND事務局長の4人が登壇し、沖縄に米軍基地を置き続ける理由として、そして集団的自衛権の行使容認の理由として日本政府が主張する「抑止力」について、安全保障の観点から議論を展開しました。

 

柳澤理事は、普天間飛行場のオスプレイの佐賀空港への暫定移転について、「日本政府は『海兵隊は沖縄にいないと抑止力にならない』と言っていたが、5年間も沖縄にいなくても良いというのは、『抑止力』について政府自身の論理の破綻を示している」と語り、「抑止力」を口実に沖縄に基地の負担を押し付ける矛盾を指摘しました。また日本政府が普天間飛行場の辺野古移設を進める強硬策ついて、ブイの設置や掘削調査は始まりにすぎないと述べた上で、「沖縄からノーを突きつけ、米国政府に伝えることが重要である」と沖縄から声を上げることの重要性を訴えました。

日本政府が辺野古移設に固執する理由については、柳澤理事自身、官僚時代に日米同盟の維持が日本の最大の国益と信じてイラクに自衛隊を派遣した、と語った上で、「官僚にとって正しい政策かどうかというのは政治の判断であり、終身雇用の日本の官僚制度では、現職の官僚は政治に対して声を上げづらい」と官僚の実態も説明しました。

尖閣諸島の脅威を理由とした「抑止力」としての海兵隊の必要性については、「上陸を阻止するのは海上保安庁、自衛隊の治安出動で十分間に合う」と述べ、日本政府の取り組みで対処できると強調しました。

集団的自衛権行使容認の閣議決定について、集団的自衛権の負の側面が語られておらず、沖縄にミサイルが飛んでくるということである、と集団的自衛権の危険性を指摘した上で、安倍政権に対し、「安倍首相にとって『血の同盟』が自己実現であるのであれば、それを防ぐのが私の自己実現である」と語りました。

 

東京新聞論説兼編集委員の半田滋氏は、2012年の米軍再編見直しにより、在沖海兵隊の主力実践部隊のグアム移転が決定したことを説明しました。これにより沖縄駐留の意義は抑止力では説明できなくなった、と「抑止力」を強調する政府説明の矛盾を指摘し、「政府の安全保障政策は、付け焼き刃になっている。ほとんど沖縄にいない海兵隊が駐留する沖縄の米軍基地に『抑止力』という中身はない」と語り、「『抑止力』は偽物だ、ということをはっきり示している」と強調しました。

イラク特別措置法、周辺事態法、特秘密保護法等の法整備、さらに昨年暮れの国家安全保障戦略の策定、今年の集団的自衛権容認の閣議決定により「対米公約に基づき、日本は法に基づき戦争ができるよう整備を進めてきた」と述べ、対米追従の安全保障政策について警鐘を鳴らした上で、「日本は米国の要求全てにイエスと言い続けてきた。イエスと言った内容を実現するため、今度は日本政府が各地方に対して強制してきた」として日米の歪んだ「主従関係」が国と地方との関係においても反映されており、その典型的な例が沖縄である、と指摘しました。

 

元沖縄タイムス論説委員でフリージャーナリストの屋良朝博氏は、沖縄の海兵隊の活動について、「現在アジア太平洋地域における人道支援活動や災害救助訓練を活発に行っており、各国と安全保障のネットワークを構築している」と説明。その上で、「安全保障環境の悪化を主張し、靖国神社を参拝した安倍首相こそが、海兵隊の努力を台無しにしている」と批判しました。

さらに「沖縄の米軍基地は軍事外交としての拠点であるのが実態」と説明し、「海兵隊は沖縄どころか日本駐留の必然制もない。全て政治で決められ、『抑止力』や『地理的優位性』を理由として沖縄が『現実的』で終わる」と指摘し、海兵隊駐留の「抑止力」について、「抑止は『ゆくし』(嘘)である」と「抑止力」が虚像であることを強調しました。

 

稲嶺進名護市長の今年5月の訪米の際、企画や日程のコーディネートを行った猿田事務局長は、ワシントンの状況について、「ワシントン(米国議会、政府等)で沖縄について知っている人は、ほんのひと握りしかいない。その他は知識も興味もない」と述べ、ワシントンにおける沖縄基地問題の認識の実情を語りました。さらに、「ワシントンは物事を軍事戦略で考えている」と説明した上で、「基地の県内移設に反対する沖縄の声をワシントンに届けるには、安全保障の理論が必要」と語り、沖縄の声を届けるだけではなく、実際に政策に対する具体的な提案を行うことの重要性を強調しました。

 

さらに今年11月の沖縄県知事選挙について、登壇者から、今度の選挙で戦後レジームからの脱却か、沖縄差別からの脱却かという選択が県民に問われている、と県知事選の意味とその重要性が強調されました。

 

来場者数は800人にのぼり、会場は満席となりました。「抑止力」で説明される在日米軍基地や集団的自衛権の実態について様々な視点から議論が展開され、会場は舞台上と客席の双方の熱気に包まれ一体となりました。

 

なお、シンポジウムの内容については、発売中の『虚像の抑止力―沖縄・東京・ワシントン発 安全保障政策の新機軸―』にて、詳細に解説がされています(定価:1,512円(税込))。

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